そらいろくらげが浮き輪で海に浮いているイラスト

最後の市村エンジニア【ミス・サイゴン】

今日の舞台
東宝ミュージカル 『ミス・サイゴン』@帝国劇場

ミス・サイゴンといえば、やはりエンジニア役の市村正親さんを語らずにいられません。
市村さんとの出会いは、30周年記念リサイタル「オモチャ箱」です。この作品は、記念リサイタルということで劇団四季時代の作品から様々なミュージカル作品の曲をメドレーで上演します。
ミュージカル好きにも関わらず市村さんの存在を知らなかったのですが、そこで圧倒的な存在感を見せつけられることとなりました。

その中で、ミス・サイゴンの中でエンジニアが歌う『アメリカン・ドリーム』も歌われ、いつかミス・サイゴンを観てみたいと思うようになりました。

その後、ミス・サイゴンはこれまでに2004年・2008年・2009年・2002年・2004年と上演されてきているのですが、そのうち観に行こうと思っているうちに見逃してしまい気付けばこの2016年で市村さん最後のステージとなってしまいました。ということで、初ミス・サイゴンは市村さんのラストステージです。

帝劇ロビー

帝劇の雰囲気って重厚感と高級感あふれる雰囲気が好きです。ああ、今くらげは帝劇にミュージカルを見に来ているんだなと言うワクワク感があります。
古い分、維持管理は大変だと思うけどこの雰囲気はずっと残していってほしいなと思います。

人が溢れかえるロビーは、ちょうどハロウィンの時期とあってハロウィン仕様の特別展示がされています。

ミス・サイゴンといえばヘリコプター。ということで、かぼちゃ仕様のヘリ。
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今日の香盤表。みんなパシャパシャ撮っていたから、くらげも撮ってみた。
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せっかくなので、ロビーでさぼてんのカツサンドを購入。
ロビーの椅子が空いていたのでロビーで食べたのですが、帝劇は開場中と休憩中は客席で飲食できるそうです。知らなかったー。
ちょっとロビーは食べるスペースがなくて狭いなと感じていたのです。

あらすじ

1970年代のベトナム戦争末期、戦災孤児だが清らかな心を持つ少女キムは陥落直前のサイゴン(現在のホー・チ・ミン市)でフランス系ベトナム人のエンジニアが経営するキャバレーで、アメリカ兵クリスと出会い、恋に落ちる。
お互いに永遠の愛を誓いながらも、サイゴン陥落の混乱の中、アメリカ兵救出のヘリコプターの轟音は無情にも二人を引き裂いていく。

クリスはアメリカに帰国した後、エレンと結婚するが、キムを想い悪夢にうなされる日々が続いていた。一方、エンジニアと共に国境を越えてバンコクに逃れたキムはクリスとの間に生まれた息子タムを育てながら、いつの日かクリスが迎えに来てくれることを信じ、懸命に生きていた。

そんな中、戦友ジョンからタムの存在を知らされたクリスは、エレンと共にバンコクに向かう。
クリスが迎えに来てくれた−−−心弾ませホテルに向かったキムだったが、そこでエレンと出会ってしまう。

クリスに妻が存在することを知ったキムと、キムの突然の来訪に困惑するエレン、二人の心は千々に乱れる。
したたかに“アメリカン・ドリーム”を追い求めるエンジニアに運命の糸を操られ、彼らの想いは複雑に交錯する。

そしてキムは、愛するタムのために、ある決意を固めるのだった−−−。

(公式サイトより引用)

感想

帝劇は、1階のスロープがなだらか過ぎするのが不満です。客席と前と後ろはちゃんとずれているのですが、前にちょっと背の高い方が座ると舞台が見えません。
今回、センターよりちょっと下手側だったのですが、前に座った女性の方の背が高いため舞台下手側を観ることができませんでした。やっぱり、2階席のほうがいいのかな。

第一部

ミス・サイゴンといえば、やっぱり大掛かりの装置と、緊張感あふれるオーバーチュア。曲が始まった瞬間からいよいよ始まるというドキドキ感に包まれます。

戦火の混乱の中、キムがエンジニアに拾われ、キャバレーで働くところから物語が始まります。
ベトナム戦争が佳境を迎える中でキムとクリスは出会い、結ばれるわけですが、親の許嫁のトゥイや戦争の影が二人の仲を引き裂こうとします。

曲のところどころにアジアの楽器と音階が使われていて、どこか懐かしいような神秘的な雰囲気を感じます。

いよいよ、サイゴンが陥落という瀬戸際まで来て、いよいよヘリコプターの登場かと思ったら、シーンはベトナム国の式典に変わります。
ここでも、緊張感あふれる軍人たちの歌とダンスの中にアジア的要素が加わり、一味違う雰囲気を醸し出しています。

立派な軍人に変わったトゥイの前に引き出されたのは、ボロボロの衣装をまとったエンジニア。なんとしてもキムと結ばれたいトゥイはエンジニアにキムを探させます。
洞窟のようなところに佇んでクリスを待つキムに対し、女性と一緒に眠るベッドで悪夢にうなされているクリス。

そして、エンジニアはトゥイを連れてキムの元へと案内します。キムと再会したトゥイはキムに結婚を迫りますが、クリスとの間に生まれたタムを見せると激昂し、ナイフでタムを殺そうとするトゥイ。
とっさに、キムはクリスからお守り代わりにもらった拳銃でトゥイを撃ち殺してしまいます。

嫌われ役のようなトゥイですが、ただ彼はキムに振り向いてほしいだけなんだと思います。
ベトナムの人民委員長になったのも、キムに立派なところを見せたいんだと思います。
その一途で報われない気持ちが痛いほどに伝わってきて、トゥイを見ていてなんかとても切なくなってきてしまいました。

タムを守るために撃ってしまったキムですが、倒れたトゥイを抱いて泣き叫ぶのを見て、本当はトゥイのことは嫌いじゃなかったのかもしれません。

ただ、ここでいきなりキムの子供が出てきたため時系列で混乱したのですが、クリスと出会ったころはまだ少女だったキムが、子供ができたことにより母性を感じる大人の女性に感じます。
子役の子がまたかわいいんです。

その場からタムと共に逃げたキムは、エンジニアとともに難民に紛れてタイのバンコクを目指します。
「え?一体あのヘリコプターのシーンはいつ出て来るの?」と頭に疑問を浮かべたまま、第一幕は終了。なにはともあれ、客電が点いたら真っ先にトイレに直行です。

第二部。

舞台はアメリカ。クリスの戦友ジョンは、米兵とベトナム女性の間にできた混血児、”ブイドイ”の救出活動のための演説を行っています。そして、ますます時系列がわからず混乱するくらげ。
ジョンは、キムがバンコクで子供を育てているという情報を知り、クリスへと伝えます。
キムの無事を知り安堵するとともに、子供の存在に戸惑うクリス。やがて、妻のエレンに伝える決意をします。

舞台は変わり、バンコク。未だにアメリカへ渡れないエンジニアは、キャバレーの客引きをしています。そこへ仕事でバンコクを訪れていたジョンは、エンジニアと再会します。
ジョンは、キムにクリスが来ていることを伝えますが、喜ぶキムに結婚していることを伝えられません。

クリスとの再会に喜ぶキムですが、そこへトゥイの亡霊が現れ、”あのとき”へとキムは引き戻されます。
”あの日”とは、のサイゴン陥落が迫り撤退を余儀なくされているアメリカ軍と、助けを求めて大使館前大勢のベトナム人が押し寄せてきている1978年4月です。

混乱の中、クリスとキムはすれ違い、やがて轟音と共に脱出用ヘリが到着。客席頭上には大型ファンが2台吊られており、ヘリの到着とともに会場内はヘリから来る強烈な風が吹いています。
そして、待ちに待ったヘリの登場。舞台と客席を強烈に何重ものサーチライトが照らし、やがてクリスを乗せたヘリは頭上へと飛び去っていってしまいます。

この鮮烈なシーンがまさかキムの回想として出てくると思わなかったので、驚きました。

ふと我に返ったキムは、とっておいた白い民族衣装を身にまとい、クリスの泊まっているホテルへと向かいます。しかし、クリスはジョンとともにキムを探しに出かけており、部屋にいたのはクリスの妻、エレンでした。
エレンから結婚していることを告げられ、ショックを受けたキムは部屋を飛び出します。

このエレン役は、知念里奈さん。知念さんはジキルとハイドのときに観ていて、若干まだ不安な感じがしていましたが、すっかりいい女優さんになっていました。キムとクリスの関係、そしてクリスの子供であるタムの存在をどうにか受け入れようとするエレンの気持ちが、歌とともに痛いほどに伝わってきます。ああ、エレン。

信じていたクリスを信じられなくなった気持ちとクリスを信じようとするエレンに、クリスは「君だけが頼りだ」と告げるクリス。そして二人は、キムとタムをバンコクに残したまま資金援助をしようと決意します。いやいや、そこは納得がいかないです。アメリカに連れて行ってやれよと思います。「いや、それは違う。」と異議を唱えるジョンに思わず、同意したくなりました。

そして、タムを迎えにくることになったクリスたち。ついにアメリカに渡ることができると、心躍らせるエンジニアは、アメリカン・ドリームを熱唱します。自由の女神にキャデラック、ラインダンスと、ザ・アメリカンな雰囲気たっぷりてんこ盛りです。
このエンジニアのしたたかな生き方は、レ・ミゼラブルのテナルディエと共通するものがあります。

クリスたちを待つキムは悲壮な決意をし、悲しい最後を迎えて幕が降りました。

このあとの物語はわかりません。
しかし、きっとエンジニアは「俺はキムの代わりにタムの成長を見届ける義務がある!」とか何とか理由を付けてクリスたちとともにアメリカに渡り、うまいことやっていくに違いません。

市村さん、25年間に渡るミス・サイゴンへの出演、お疲れ様でした。



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