シューボックス型コンサートホールで聴くチェロリサイタル

今日の鑑賞
遠藤真理&上原彩子 デュオ・リサイタル @フィリアホール

フィリアホールは、ホール全体の壁面や天井面が反響板になっているシューボックス(靴箱)型コンサートホールで、特に室内楽の音響には定評があります。
このホールに仕事で関わってから初めてクラシックに触れてようになり、一度はちゃんと客席で聴いてみたいと思い今回の鑑賞となりました。

取ったチケットの座席は、上手側2階ギャラリー席。ちょうどピアノの音がいい感じで飛んでくる位置です。
それにしても、客席見渡してみると中高年層の多いこと。常々、クラシックは中高年によって支えられているのだなと実感します。

リサイタルを客席で観るのは、芝居とは全く違う雰囲気でなんだか緊張します。
拍手のタイミング間違わないかとか、物音立てちゃわないかとか、シンと静まり返った中でお腹鳴らないかとか。

演奏者紹介

遠藤真理

まずは、チェリストの遠藤真理さん。このホールでも何度か演奏されています。

神奈川県出身。3歳よりチェロをはじめる。東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、同大学を首席にて卒業。学内にて福島賞、安宅賞、アカンサス音楽賞、NTTDoCoMo賞を受賞。

2003年第72回日本音楽コンクールで第1位および徳永賞を受賞、2006年「プラハの春」国際コンクールにて第3位(1位なし)、2008年エンリコ・マイナルディ国際コンクールにて第2位。

これまでに、アンサンブル金沢、大阪センチュリー、大阪フィル、神奈川フィル、札幌響、新日本フィル、東京シティフィル、東京都響、東京フィル、東響、名古屋フィル、山形響、広島響など国内の主要オーケストラに招かれ、円光寺雅彦、現田茂夫、小林研一郎、井上道義、金聖響、小松長生、飯森範親、ゲルハルト・ボッセ、ジャン・ピエール・ヴァレーズ、ルドヴィーク・モルローらと共演。ドイツで行われたキームガウ春の音楽祭、神戸国際芸術祭では世界で活躍中の若手奏者を集めたアンサンブル・ラロとの共演、ザルツブルグにてザルツブルク・ゾリステンとの共演など、室内楽奏者としても活躍中。2006年9月には紀尾井ホール、青葉台フィリアホールにてリサイタルデビュー。2007年はオーケストラ・アンサンブル金沢の国内ツアー、都民芸術フェスティヴァルに参加。2009/2010シーズンはプラハ交響楽団やウィーン室内管弦楽団と共演など国内外に活躍の場を広げている。

2010年にはNHK大河ドラマ「龍馬伝」にて「龍馬伝紀行」のテーマ曲を演奏。9月1日発売の新譜「Cello Melodies 龍馬伝紀行Ⅲ」をはじめ3枚のソロアルバム、また川久保賜紀(Vn)、三浦友理枝(Pf)とのトリオ・アルバム「RAVEL」がエイベックスよりリリースされている。
これまで臼井洋治、河野文昭、山崎伸子、藤森亮一、クレメンス・ハーゲンの各氏に師事。2005年より明治安田クオリティオブライフ文化財団、2006年よりロームミュージックファンデーションの助成を得て、ザルツブルクのモーツァルテウム音楽大学に留学。2007年マギスター課程を満場一致の最高点で卒業。また同年神奈川県より文化賞未来賞受賞。2009年12月には、齋藤秀雄メモリアル基金賞を受賞。2012年4月よりNHK-FM「きらクラ!」パーソナリティを務める。 今後の活躍が大変楽しみな若手チェリストの一人である。
遠藤真理オフィシャル・ウェブサイトより引用)

上原彩子

上原さんは3歳からヤマハで英才教育を受けられていて、2002年6月に第12回チャイコフスキー国際コンクール ピアノ部門で初の女性としてまた、初の日本人として第一位を獲得しています。
彼女の演奏を何度か聴いたことのある方から話を聴いていて、ぜひ生で聴いてみたいと思い今回の鑑賞に至りました。

3歳児のコースからヤマハ音楽教室に、1990年よりヤマハマスタークラスに在籍。ヴェラ・ゴルノスタエヴァ、江口文子、浦壁信二に師事。第3回エトリンゲン国際青少年ピアノコンクールA部門第1位を始め多くのコンクールで入賞を果たす。2002年6月には、第12回チャイコフスキー国際コンクール ピアノ部門において、女性としてまた、日本人として史上初めての第一位を獲得。
 第18回新日鉄音楽賞フレッシュアーティスト賞受賞。

これまでに国内外にて演奏活動を行い、2004年12月にはデュトワ指揮NHK交響楽団と共演し、2004年度ベスト・ソリストに選ばれた。CDは日本人ピアニストとして初めて、EMIクラシックスと契約し、チャイコフスキーの作品を収めた「グランド・ソナタ」、フリューベック・デ・ブルゴス指揮のロンドン交響楽団との共演によるチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番及びプロコフィエフのソナタ7番等を収めた「プロコフィエフ作品集」がワールドワイドで発売されている他、2014年にはキングレコードに移籍、第1弾として自身の編曲も入れた「上原彩子のくるみ割り人形」がリリースされた。

2006年1月10日には「日本におけるロシア文化フェスティバル2006」オープニング・ガラコンサートでゲルギエフ指揮マリンスキー管弦楽団と2007年1月にはベルリン・フィル八重奏団と共演、また、2008年9-10月にはクリスチャン・ヤルヴィ指揮ウィーントーンキュンストラー管弦楽団とのオーストリア及び日本ツアーを行ない、2010年5月にはユーリ・バシュメット率いる国立ノーヴァヤロシア交響楽団と、2013年6月にはドレスデン・フィルとの日本ツアーを行い、いずれも高い評価を受けた。

ジャパン・アーツ 紹介ページより引用)

感想

開演5分前の1ベルが鳴ったあと、静まり返る客席。
なんだろう、このオペ以上に感じる緊張感は。開演までの5分間がものすごく長く感じます。

そして、客電が落ちて舞台が明るくなりました。いよいよ開演です。
なんか緊張する・・・。

J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番ト長調BWV1007

1曲目は、遠藤氏のチェロ独奏。

こんな曲です。

チェロの無伴奏は聴いたことがない思っていましたが、耳覚えのある旋律です。
テレビや映画などでもよく使われている楽曲ですね。

チェロの音色は、ヴァイオリンよりも優雅でゆったりとしていて心地がよく、そして旋律によってはどこか儚くて切なげにも聴こえます。
ああ、気持ちよく意識が飛んでいきそう・・・。

目をつぶったら、若干意識が飛びかけました。一瞬、カクンってなった気がする。

ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第5番ニ長調op.102-2

2曲目は、ピアニストの上原氏が登場。ピアノの伴奏が入ります。

こんな曲です。

やっぱりピアノが入ると一気に華やぎます。

第一楽章:アレグロ・コン・ブリオ
旋律はとても軽快で、チェロとピアノが楽しく掛け合っているように感じます。

第二楽章:アダージョ・コン・モート・センティメント・ダフェット
一転して緩やかで叙情的。そしてどこか儚げな旋律。中間部は、とても穏やかで目をつぶって聴くと危険です。

第三楽章:アレグロ-アレグロ・フガート
ピアノとチェロの短い掛け合いから始まり、徐々にテンポが上がってきます。
何度か同じ旋律が繰り返され、ラストはどこまで盛り上がるんだろうと思ったら、意外とあっさりとした盛り上がりで演奏が終わりました。

クライスラー=ラフマニノフ:愛の悲しみ/愛の喜び

休憩を挟んで第二部。最初は、上原氏によるピアノ独奏です。

愛の悲しみは、こんな曲です。

この曲は、オーストリアのヴァイオリニスト、フリッツ・クライスラーの曲をピアノ用に編曲したものです。

まさに愛の悲しみのこもった旋律です。きっと聴いたことがあるという方も多いのでは。くらげも、曲名ではわからなかったのですが、聴いてみて耳覚えのある曲でした。

愛の喜びはこんな曲。

一転して、華やかになります。こちらもよく聴く曲ですね。

上原氏のピアノは繊細さと力強さが入り交じった演奏で、聴く人を惹きつけます。
指先や表情だけでなく全身で感情を表しているような演奏で、時には身体が跳ねるように激しく、時にはそっとピアノを撫でるように優しく奏でます。

ラフマニノフ:チェロ・ソナタ ト短調op.19

再び、チェロとピアノの共演です。

こんな曲。

第一楽章:レントーアレグロ・モデラート
冒頭から、感傷的なチェロの旋律から始まり、そのあとに情熱的な旋律のピアノが加わると、互いがもつれ合うように主張しながら進んでいきます。
いきなり情熱的で、なんだか物語を感じさせる曲です。

第二楽章:アレグロ・スケルツァンド
何かが起きるのではないかと思わせる始まり方で、どこか不安を感じる旋律と優雅な旋律が入り混じり、中間部に穏やかな部分を挟みながら進行していきます。

第三楽章:アンダンテ
やがて、三楽章に入ると優雅で甘美な旋律へと移り変わります。この曲の紹介を調べていると、「ロマンティック」と書かれていることが多いのですが、まさにこの楽章はロマンティックそのもの。
甘くて優しい旋律をチェロが囁きかけてきて、ピアノがさらに盛り上げています。

第四楽章:アレグロ・モッソ
今までの楽章とはがらりと変わり、ぱっと開けたような旋律で進んでいき、クライマックスへ向けて壮大に展開していきます。

アンコール

アンコール曲は、ラフマニノフのヴォカリーズ。

こちらも、聴いたことのある切なさがたっぷりとこもった旋律です。本来はソプラノまたはテノールで歌われる曲ですが、いろんな編成で演奏されています。

アンコール二曲目は、ピアノとチェロ版の子犬のワルツ。子犬は子犬でも、小型犬よりは中型犬の感じでした。

締めくくり

フィリアホールで聴くチェロとピアノは、まるで包まれるかのような感じでした。
チェロ・ソナタ ト短調op.19を聴いているときには、身体の中まで音が浸透していくような感覚がしました。

クラシックなんてよくわからなくて難しいし、クラシックホールに行くことも慣れないとどうしたらいいかわからないなど、聴くまでは敷居が非常に高く感じます。
くらげは仕事で何度も触れていたからまだ多少は慣れているし、知っているホールだからよかったけど、触れる機会がなかったらまず聴きに行こうなんて思わなかったです。

でも、一度聴いてしまうともう一度聴いてみたくなります。もう、緊張しないぞ。
また、機会があれば他のリサイタルも聴いてみようと思います。

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