そらいろくらげが浮き輪で海に浮いているイラスト

客席から演劇部の上演を優しく見守る

今日の舞台
平成28年度神奈川県高等学校総合文化祭  第55回神奈川県高等学校演劇発表会@神奈川県立青少年センター

今年8月、照明指導を行った県立大船高等学校が湘南地区大会を突破し県大会へ進出したので、客席から見守るべく観劇に行きました。

ゆっくりしていたら電車に乗り遅れてしまい、会場に着いたのはなんと開演時間。
客席に入る前に開演ブザーが鳴り、空いている客席探そうとしたら客電が落ちて真っ暗。空いている席がわからない。

なんとか前から6列目くらいの下手の端っこに空席を見つけて着席。
ようやく落ち着いくことができました。

あらすじ

『空より高く』
『戦記 空より高く』
のまさとる・作/音楽
サン・テクジュペリ「星の王子さま」原作

青山翼は東京帝国大学でフランス文学を専攻(現、文科Ⅲ類)、3年生在学中。
昭和18年12月に学業を断念し、学徒出陣。海軍入隊後、特攻隊員になる。

広島県の大竹海兵団(海軍の新兵を訓練する施設)で基礎訓練を受け、その後に茨城県の土浦海軍航空隊へ赴任。静岡県の大井航空隊に移動して飛行訓練。白菊という練習機で訓練。
その後、優秀隊員として、3人乗りの九七式艦上攻撃機に乗る。偵察担当(海野少尉)、23歳で機長。

操縦員(青山上飛曹)は21歳、電信員(川端一飛曹)が18歳の3人がチームとなる。一方、米軍主力は沖縄南西にある慶良間列島に上陸。それを受け、昭和20年3月26日から日本軍は航空特攻作戦を開始。青山らは昭和20年3月30日、配属になった知覧から、航空特攻作戦にて800kg爆弾を搭載して出撃。しかし出撃途中、機体のトラブルが発生、特攻作戦を断念。爆弾を捨て、小さな無人島の砂浜に不時着。

 そこは本国と隔絶された無人島のはずなのに、一人の少年と二人のおばさんが不時着した翼たちの前に現れる。
彼らもまた、いずこからか、漂流してたどりついたと言う。
少年は祖国、家族のために死を覚悟していた翼たちに、様々なサディッションを与えて行く。

 様々な体験を経た翼たちは、どんな時代でも、環境でも、大事なものは目には見えないものだということを知る。
そして命の尊さ(生き抜くこと)こそが人として為すべきことで、特攻だけが、祖国、家族を守る行動でないことを知る。

大船高校演劇部ホームページより引用)

感想

内容は、星の王子さまをベースにした、特攻隊員が主役のミュージカルです。

不時着した無人島に突如現れた星野桜次郎と米山米子、花川花子という二人のおばちゃん。

特攻隊の3人に、日本の歴史と称して星の王子さまそっくりの登場人物を登場させながら、命の尊さを教えていきます。
そこへ、蛇が登場。沖縄の無人島らしくハブです。

あくまでも自分たちの任務を遂行しようとする青山たちに、日本の歴史を学びながら大切なものは何かを気づいてもらおうと、次々に星の王子さまそっくりの登場人物が登場します。
舞台は日本なので、帽子のくだりは襖絵に和太鼓の音に合わせて踊る民謡調。ここで、青山が筆でヒツジの入っている箱を書いて桜次郎に渡します。

王の代わりに安倍晴明と都の陰陽師、そして田舎の陰陽師が登場。次に、回転する装置が回転して現れたのは、こたつに入って酒瓶持ったまま酔っ払っている江戸時代の格好をした酔っぱらい。堅物の海野少尉と意気投合し、酔っ払いながらまたもとの位置へと帰っていきました。

続いて、時代は江戸から明治へ。ペリーが来航し、大判小判は金銀の硬貨と紙幣に変わり、サルの両替商は忙しくてウキーッとなっていいます。次に現れたのは、大きな等身大の鏡を引き連れている銀座のバーテンの自惚れ屋。「俺ってカッコイイ?」とポーズを決めながら、客席を煽って拍手を要求する始末。そしてまた、身体をくねられながら帰っていきました。

変な人達が帰っていったあとに我に返った青山たち。必死で地図を見ながら現在地を確かめていると、桜次郎が横から「なぜ花には棘があるのか」を聞いてきます。それどころではない青山がぞんざいに答えると、桜次郎は、「忙しい忙しいと言いながら寄せ算ばかりしている天狗茸先生みたいだ」と訴えます。
そして現れたのは、頭がキノコになっている天狗茸先生。ずっと同じ寄せ算ばかりしています。そして、また「忙しい忙しい」と言いながら帰っていくのでした。

王子が星に残してきた花は、身体に大きな牡丹の入れ墨を入れている昭和任侠伝の唐獅子牡丹。それはまるで、故郷に残してきた海野少尉の奥様そっくり。
素直になれない牡丹と、女心がわからない海野たち。そして、牡丹は女心のわからない海野たちに愛想を尽かして一輪の牡丹を残して去っていきます。

すると、自分の身を守る棘を持たない一輪の黄色い花が登場。それは、青山が故郷に残してきたタバコ屋の咲ちゃんそっくり。すると、桜次郎が現れて「あれは、新型爆弾だ!!」と叫びます。突如眩しい閃光のあとに砂嵐が現れました。身を守る術を持たない黄色い花は儚くも吹き飛ばされて命を落としてしまいます。そこで、命の儚さを知る青山たち。

悲しみに暮れていると、一匹の狐が現れました。狐は、白装束を着た伏見稲荷神社の神様です。そこで、狐に近づいた青山たちは、狐と友だちになり、同時に牡丹を手懐けようとしていたことに気づきます。
狐の「大事なものは目に見えないものなのよ」という言葉を受けて、桜次郎は青山にあるものを手渡します。それは、目には見えませんが紙飛行機でした。夕焼けに向かい、紙飛行機を飛ばす、青山たち。

そこへ、突如現れたハブに驚いた狐は驚いて逃げていってしまいます。以前の青山たちだったらハブに怒るところですが、怒らずに仕方ないという姿に、彼らの心が変わったことに安心する桜次郎たち。
そして、「僕たちは星に帰るけど、71年後にまた会えるよ」と言い残したあと、ハブに足首を噛ませて星へと帰っていったのでした。

桜次郎たちが星に帰っていったあとに残された青山たちが砂浜を見渡すと、あれだけ探しても見つからなかった九七式艦上攻撃機を発見します。幸い、機体に大きな損傷もなく飛び立てることがわかり、どうするかと青山は少尉に訪ねますが、「初志貫徹」の言葉通り、特攻へと飛び立ちます。

高度を徐々に上げていって島全体が見渡せるようになったとき、九七式に通信が入ります。それは、軍からではなく星に帰っていった桜次郎たちでした。桜次郎に島を見渡してほしい言われて見てみると、そこにいたのは、島で会った人たちすべてが青山たちの乗っている九七式を見上げながら手を降っている姿でした。

その姿を見た海野少尉は、「大事なものは目には見えない」を部下二人に復唱させると、3人は鹿児島の基地へと生きて帰って辱めを受けることを決意します。
そして、幕が降りました。

くらげが関わったのは、プレ公演が終わったあとの2回め。
地区大会に向けて細かい調整を行っていましたが、大会規定で決められている60分内に収められた内容ではなく、100分の余裕のあるバージョンでした。

今回は、大会規定の60分以内に収められた作品になっているわけですが、60分に凝縮されているにも関わらず、わかりにくかった部分がちゃんとしっかり明確になっているなという印象を受けました。
また、何度かここまで大きな舞台で上演しているということもあり、のびのびと舞台や装置を使いこなしているという感じでした。

ストーリーは知っているにも関わらず、桜次郎たちが星に帰るシーンや島の全員が手を降っているシーンなんかは、もうわかっているのにでうるうるしてきてしまいます。ハンカチ持ってきておいてよかった。
ただ、どうしても時間を気にするのと慣れてきたせいで、セリフが早口で聞き取れないところが多くあったのが残念でした。

上演後に客席を見渡すと、ほぼ満員状態。大船高校演劇部目当てで全国から来ているという話も聞いたことがあるので、さすがの集客力です。
うまく客席の雰囲気も取り込めていたのではないかと思います。

県立西湘高等学校演劇部

お昼を食べに行ったあと、4番目の西湘高校も観ることにしました。

『かげの歌』
ぽぶ☆のれん・作(季刊高校演劇)

こちらは、二人芝居。脚本は、季刊高校演劇に掲載されたものです。

あらすじ
とある高校の文芸部、部員は友子一人だけ。
部室を追い出され、今は外にある運動部の物置だった部屋で一人短歌を作成しています。
そこへある日、同じクラスの愛子が訪ねてきて、恋の歌の代作を頼まれます。
そして、この日から愛子のかげの歌作りが始まります。
(パンフレットより抜粋)

セットは、物置らしくコーンや古いロッカー、本のぎっしり詰まった本棚、そして机だけ。舞台転換はほぼありません。時間の経過のみの進行です。
二人芝居にしては広すぎる舞台ですが、部室の扉の開け閉め、靴を脱いだら向きを直して揃えるなど、細かいところがちゃんとできているなという印象でした。

県立神奈川総合高等学校

『この国をさがして』
古谷泰三・作

あらすじ
放課後の進路面談。
私はどこへ行こうとしているのか。
どうするべきなのか。
どこか懐かしい孤独の先に、さがすものとは、見つけるものとは何なのだろうか。
流れ着いた先で、紡がれるもの・・・それは。

顧問の先生による創作です。この高校は、関東大会常連の強豪です。
そのせいもあり、演技力は非常に高いものでした。

主人公のヒノモトミライは、白いシャツに赤いスカート。先生たちに囲まれて進路面談をしています。
進路の見えない主人公の前に現れた自宅警備員。

彼は、ミライに戦争や万博など、日本がたどってきた時間を見せていきます。
時折、そっと遠くで見守る女神のような存在。
やがて、時代は近未来へと移り、今まで以上に悪化した状態となって現れます。

暴動と化した民衆に殴り殺されるミライ。ぽつんと舞台の真ん中に倒れたミライの前に現れたのは、殺さたはずのミライ。
そして、今まで決して泣かなかったミライが温かさを知り涙を流します。

ストーリーや発想はおもしろいのですが、どこか淡々と流れていくのが非常にもったいないなと感じました。
照明はSSを使っているシーンも有るのですが、演出効果としての照明を活かしきれておらず、音響もそっと流れるシーンばかりだったのでもう少しガンガン流してしまって煽る感じでもよかったと思うシーンがありました。

脚本や演出が淡々としている分、もう少し効果でメリハリをつければ芝居全体が引き締まったと思います。

また、途中で歌のシーンが入っているのですが、録音の荒いピアノ伴奏のみなのが非常に残念でした。
今はいろんなソフトがあるので、もう少しアレンジ加えたほうがより引き締まったと思います。

締めくくり

全13校の上演後、審査員による講評が行われ、そのあとに審査結果が発表されます。
大船高校はなかなか評判がよかったこともあり、桐蔭学園高校とともに関東大会への進出が無事に決まりました。

次は、12月29日、30日に東京芸術劇場で行われる、南関東高等学校演劇発表会での上演です。
大船高校を引っ張ってきた代表顧問が今年度で定年を迎えるため、最期の出場となる今回。

ぜひ、狭き門をくぐって全国大会を目指してほしいです。



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