高校演劇関東大会で演劇部を優しく見守る

今日の舞台
『第52回関東高等学校演劇研究大会東京会場』@東京芸術劇場プレイハウス

何度か照明技術を指導してきた、神奈川県立大船高校が今年の神奈川県大会で最優秀賞を受賞し、関東大会への出場が決まりました。

今回は多少開場の小さい東京芸術劇場プレイハウスでの上演のため、入場はネット予約となります。12月11日に予約開始となり、すっかり出遅れたくらげは予約できませんでしたが、運良く高校の後輩がチケットを余分に一枚取っていたためもらうことができました。チケットは紙ではなく、QRコードを会場受付で提示する方式です。

後輩もくらげも、大船高校出身ではありませんが、くらげたちの高校では関東大会への出場は2〜3回程度で自分たちが在籍していた代ではなし得ていません。今年は、今年度一杯で顧問が定年退職する最後の年でもあります。もしかしたら、全国大会への切符を手にすることができるかもしれないという希望を、彼らに託すことにしました。

余裕を持って会場へ

県大会では、開演時間に劇場に到着するということをしてしまったので、反省して今回は早めに会場へ到着しました。大船高校は2日め最期の大トリである16時40分からの上演です。まだ1校前の高校が上演中でしたが、ロビーにはすでに多くの観客が詰めかけていました。

こんなに大船高校のファンがいるとは驚きです。

そして、前の高校が無事に幕を下ろし、客席の扉が開きました。ロビーにいた客が一斉に客席へと向かい、すぐに超満員状態。開場10分前には立ち見客もいる状態です。芸術劇場では立ち見客可なんですね。くらげの席は1階後方の端っこだったため、レセプさんの会話が聞こえてきます。開演時間が押しているのは、キャンセル客の対応に時間が掛かっているからのようです。

客席後方には、音響・照明ブースがあり、それぞれ卓が置いてあります。どうやら、調整室ではなく客席で操作できるようです。

そして開演

そして、2ベルとともに客電が落ちて、いよいよ開演です。

あらすじ

内容は、星の王子さまをベースにした、特攻隊員が主役のミュージカルです。

昭和20年3月、太平洋戦争真っ只中の米軍主力は沖縄南西にある慶良間列島に上陸。それを受け、昭和20年3月26日から日本軍は航空特攻作戦を開始します。
偵察担当及び機長である海野少尉23歳、青山上飛曹21歳、電信員の川端一飛曹18歳は、昭和20年3月30日、配属になった知覧から、航空特攻作戦にて800kg爆弾を搭載して出撃。しかし出撃途中、機体のトラブルが発生、特攻作戦を断念。爆弾を捨て、小さな無人島の砂浜に不時着します。

不時着した無人島に突如現れた少年、星野桜次郎と米山米子、花川花子という二人のおばちゃん。
あくまでも自分たちの任務を遂行しようとする青山たちに、日本の歴史を学びながら大切なものは何かを気づいてもらおうと、次々に星の王子さまそっくりの登場人物が登場します。

やがて、彼らの心が変わったことに安心する桜次郎たち。
そして、「僕たちは星に帰るけど、71年後にまた会えるよ」と言い残したあと、ハブに足首を噛ませて星へと帰っていきます。

桜次郎たちが星に帰っていったあとに残された青山たちが砂浜を見渡すと、あれだけ探しても見つからなかった九七式艦上攻撃機を発見します。幸い、機体に大きな損傷もなく飛び立てることがわかり、どうするかと青山は少尉に訪ねますが、「初志貫徹」の言葉通り、特攻へと飛び立ちます。

高度を徐々に上げていって島全体が見渡せるようになったとき、九七式に通信が入ります。それは、軍からではなく星に帰っていった桜次郎たちでした。桜次郎に島を見渡してほしい言われて見てみると、そこにいたのは、島で会った人たちすべてが青山たちの乗っている九七式を見上げながら手を降っている姿でした。

海野少尉は、「大事なものは目には見えない」を部下二人に復唱させると、3人は鹿児島の基地へと生きて帰って辱めを受けることを決意するのです。

感想

最初のうちは、みんな客席の雰囲気に飲まれてしまっているようで、どこか固さを感じました。大丈夫、がんばれ。見る方も思わず固くなります。

なんだか雰囲気が変わったなと思ったのは、自惚れ屋が登場し客席に拍手を求めるシーンからです。ここでお客さんを巻き込んで笑いが起きたことで、ふっと彼らの肩の力が抜けた感じがしました。ここから、観客の雰囲気をぐいっと掴んでいきます。

星の王子さまと同様に登場する花たちは、すべて特攻隊員3人が故郷に残してきた奥さんや許嫁など大事な人たちそっくり。少尉の奥さんそっくりの牡丹の花は王子と喧嘩したように少尉と言い合いになり、牡丹の花を一輪置いて去っていき、広島に残してきた青山上飛曹の片思いの咲ちゃんそっくりの黄色い花は、広島に新型爆弾のピカドンが落ちた衝撃で砂嵐が発生。あっけなく命を奪われてしまいます。
その後に現れた伏見稲荷神社の狐は、川端一飛曹の許嫁そっくり。ようやく狐と友達になれた川端一飛曹と狐を見て、牡丹の花を飼いならそうとしていた事に気づきます。

最初にこの作品を見たときは、特攻隊員3人と花たちの関係がそこまで明白にはなっていなかったのですが、何度か上演していくうちに改稿され、3人の大事なひとたちそっくりという設定になっていて「より大事なものは目に見えない」という部分が明白になった感じがしました。特に、見を守る武器を持たない黄色い花と広島に残してきた咲ちゃん、新型爆弾ピカドンと砂嵐という関係が戦争の悲しさをより引き立たせています。

黄色い花が亡くなったところと、海野たちが生きて辱めを受ける決意をし鹿児島の基地へ戻る決意をしたシーンでは、涙が止まりませんでした。客席でも鼻をすする声があちこちから聞こえてきます。

そして、幕が閉じました。

なんというか、高校生の伸びしろというのは果てしないなと感じました。
照明の生徒さんも、県大会のあとにちょっとだけアドバイスさせてもらったのですが、それ以上にいい明かりを作っていました。

ここまで本当によく頑張ったと思います。

そして結果は・・・

残念ながら、県立大船高校は優秀賞を受賞したものの全国大会への出場は果たせませんでした。

第63回全国高等学校演劇大会 推薦校は以下の4校に決まりました。
おめでとうございます。

埼玉県立新座柳瀬高校
埼玉県立秩父農工科学高校
茨城県立日立第一高校
千葉県立八千代高校



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください