そらいろくらげが浮き輪で海に浮いているイラスト

再び、オペラで観る銀河鉄道の夜

今日の舞台
オペラシアターこんにゃく座 『想稿・銀河鉄道の夜』@世田谷パブリックシアター

オペラシアターこんにゃく座は、その名の通りオペラ劇団です。
日本語のオペラ作品を作成し、全国の小中学校や高校で公演しています。

うち年に数回は一般公演を行っており、くらげは毎回観に行っています。

今回上演する作品は、2010年にシアタートラムで上演された作品の再演です。
今回は、シアタートラムの隣にある大きな劇場、パブリックシアターに場所を移し、新演出で上演されます。

感想

内容は、宮沢賢治の銀河鉄道の夜そのものですので省略します。

前回は舞台を囲むように三方向に客席があり、舞台を見下ろすような劇場でしたが、今回はふつうの劇場なので何だか遠くなってしまった印象です。

セットは、教室にある木の机と椅子、そして舞台奥には大きな金属製の輪が吊られています。高さは、舞台開口部と同じくらい、幅は4間近くあります。
下手前には、楽隊が座ります。前回と同じピアノ、クラリネット、チェロの三重奏です。

ピアノとチェロ、クラリネットの三重奏が奏でる音色は、宮沢賢治の世界にとても調和します。

脚本は北村想さんなのですが、銀河鉄道の夜の世界が柔らかく滑らかに広がっていくような印象を受けます。
内容を知っているはずなのに、とても奥深いところまで描いていて、いちいちセリフにグッときます。

そして、セットも非常にシンプルなのですが、却って想像の幅が広がる印象を受けます。

木製の机は、机としてだけではなく時には運河への道だったり、駅の待合室の椅子になったりと柔軟に変化していきます。
大きな金属製の輪は、最初のうちは映像を映し出すスクリーンだったのが、銀河ステーションへのシーンになってからはまるで宇宙を表すようで、そしてあの世とこの世の境目でもあるような重要なセットに変化します。
この輪っかには、始終ゆらゆらと回転するように明かりが当たっていて、まるで星が地球を回っているかのように見えます。おそらく、ムービングライトか何かで袖から当てているのかも知れないのですが、とても印象的でした。

一番印象に残ったのは、「カンパネルラは『本当のこと』を探しに行った」というセリフです。
カンパネルラは、いつも「本当のこと」を探していました。だから、カンパネルラは死んだんじゃない。『本当のこと』を探しにいったんだということ。
だから、最期は「行っておいで、カンパネルラ」という言葉が歌詞に出てきます。

そこには、カンパネルラが死んだ悲しさではなく、まるで希望が詰まっているように感じます。
全員で歌っている最中に、死んだカンパネルラが『本当のこと』を探しに旅立つかのように、舞台奥から舞台前へと歩いてきたところで、舞台が暗くなり幕が閉じました。

オペラ作品として銀河鉄道の夜を観ると、本で読むのとはまた違った印象を受けます。
どこか切なさと寂しさが漂う、とても不思議な時間を旅したような気分になりました。

オペラシアター こんにゃく座公式サイト



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