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ショパンの愛したピアノ、プレイエルでショパンの曲を聴く

今日は、音楽ホールでお仕事です。
近頃は音楽ホールでの仕事について記事にすることも減りましたが、月6〜8本入っています。

今日は、著名なピアニスト仲道郁代氏によるリサイタルです。
ショパンが愛用していた古楽器ピアノ、プレイエルピアノとスタインウェイの2台でショパンの曲が演奏されます。

プレイエルピアノとは

プレイエルピアノは、フランスのプレイエル社が製作していたピアノの総称です。

プレイエル社の創業者であるイグナーツ・プレイエルは、ハイドンに師事している指揮者でした。
その後、フランスで音楽出版社を設立し、1807年に息子のカミーユとともにピアノ製作会社プレイエルを設立します。また、コンサートホール「サル・プレイエル(Salle Pleyel)」も経営しました。

1813年にイグナーツは息子のカミーユに全権を譲ったあと、1831年に他界します。同年、ショパンは祖国ポーランドを離れパリを訪れた際にプレイエル社のピアノと運命的な出会いをします。
そして、翌年の1832年にショパンはプレイエル社のサロン「サル・プレイエル」での演奏会を開き、パリでのデビューを果たしたのでした。

その後、ショパンは生涯に渡りプレイエルピアノを使い続けます。

プレイエルピアノの外見は、現代ピアノと比べると大きさは一回り小さく、形状としてはフルコンサートに近いのですが大きさ的にはハーフコンサートです。

現代ピアノは内側に金属フレームを使用し、弦を力強く引っ張っており打鍵距離も深いため、より遠くに音が届くようになっています。
対して、プレイエルは木製の本体に軟鉄を平行に張った構造のため、叩いても響かず音量があまり出ません。
ただ、その分繊細なタッチでも音色は変わります。

演奏する際は、指を寝かして演奏します。ショパンは、演奏している手がまるで蛇のように動いていたそうです。

詳しくは、こちらの映像をどうぞ。

今回演奏されるプレイエルは、仲道氏が所有している1848年製のものです。
現代ピアノの代表格であるスタインウェイと弾き比べながら、ショパンの魅力を紹介していきます。

スタインウェイとは

ついでに、スタインウェイもさらっとご紹介します。

スタインウェイは、正式名称はSteinway & Sonsといい、1853年にアメリカで設立されたピアノ製作会社です。
今でも全体の80%は人の手によって生産されています。また、創業依頼120以上もの特許を取ってきました。
現代ピアノは金属フレームに弦が交差して張られていますが、この改良も特許のうちの一つです。

金属フレームの起用と交差弦の改良だけでなく、ハンマーやハンマーに巻いているフェルトの厚みの改良などを経て、現代ピアノへと変貌を遂げていきます。
まさに、スタインウェイが現代ピアノを作り上げたと言っても過言ではないのです。

スタインウェイの紹介映像があったので、ご覧ください。

リハーサル

通常のリサイタルでは、間口3間ほどの地明かりを中心に明るめの明かりを作っています。

今回は、仲道氏たっての希望でホール全体を王宮のろうそく灯りのイメージにするため、全体を暗くしてピアノだけ明るくし、しょんぼりと客席壁のブランケットを点けています。
こういうとき、装飾的な客電のある音楽ホールだと、絵になるような明かりが作れて楽しいです。

仲道氏の演奏を聴くために、リハーサルは客席で聴いていました。
関係者しかいない客席のちょうどいい場所で聴くことのできる、この贅沢な時間が好きです。

引き始めた途端に感じる、鳥肌の立つような感覚。
特に、スケルツォ第2番 変ロ長調op.31の弾き始めの身体が跳ねるような力強さと激しさは、あの身体のどこから湧いてくるのだろう。

本番

プレイエルピアノの音色は、現代ピアノと比べると軽く感じます。
まるで、ピアノの演奏を古いカセットテープで聴いているかのような印象を受けます。

ショパンのポロネーズ第1番嬰ハ短調op.26-1、ワルツ第7番嬰ハ短調op.64-2、12の練習曲op.25第1番変イ長調「エオリアン・ハープ」はそれぞれスタインウェイとプレイエル両方で演奏して聴き比べます。
耳慣れた曲があまりにも違うので、けっこう衝撃です。
それもそのはず、ショパンの曲として聴いていたものは、現代ピアノでの演奏ではショパンが作曲した意図とは違うかもしれないからです。

こちらに、ちょうど仲道氏がプレエルで演奏している、ワルツ第7番嬰ハ短調op.64-2の映像があったので聴いてみてください。

続いて、プレイエルでの演奏で12の練習曲op.10第12番ハ短調「革命」。
この曲は、1931年にパリへ向かう途中でワルシャワ蜂起失敗の知らせを受けたショパンが、絶望と怒りをぶつけたとされる曲です。
現代ピアノで弾くよりもシンプルで、そしてまるで地響きのような沸々と湧き上がる怒りを感じるイメージです。

こちらも、プレイエルで演奏している映像があったので聴いてみてください。

こちらは、仲道さんが現代ピアノで演奏している映像です。聴き比べてみてください。

ノクターン第20番嬰ハ短調「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ」では、途中までプレイエルで弾いていたかと思ったら、突如立ち上がってスタインウェイに移動、そしてまた途中でプレイエルに戻るという器用な演奏を見せる仲道氏。おかげで、より聴き比べることができました。
ちなみに、古い楽器は鍵盤が狭いため、現代ピアノで覚えたての広げ方では弾けないそうです。また、力加減も変わるため、両方を弾きこなすのは至難の業です。それを難なく引き遂げたことに脱帽します。

最後は、スタインウェイでスケルツォ第2番 変ロ長調op.31です。まるで引き込まれるような演奏でした。

締めくくり

このホールにいると、いろいろ勉強になります。
おかげで、プレイエルの音色に魅了されてしまいました。

今度機会があったら、またプレイエルの演奏を聴いてみたいものです。

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