そらいろくらげが浮き輪で海に浮いているイラスト

足利の陶磁美術館で伊萬里・鍋島焼を鑑賞

栃木県足利市には、伊萬里、鍋島焼きのみを1万点あまり収蔵する世界最大級の陶磁美術館があります。
三万坪の自然を生かした敷地内には、本館や資料館など30近い建物が屹立しています。

かれこれ7年近く陶芸を続けているくらげは、日本の名だたる焼き物に関する知識を蓄えたいと思っています。
ということで、この美術館を訪れることにしました。

概要

  • 住所
  • 栃木県足利市駒場町1542

  • 電話番号
  • 0284-91-1026

  • 休館日
  • 月曜日(但、祝日の場合翌日)年末年始、12月28日より1月2日

  • 開館時間
  • 午前9時30分より午後5時

  • 入館料
  • 一般1,250円/小中高生500円 団体20名以上20%割引

  • 公式サイト

※休館日及び開館時間は、季節により変更する場合があります。

それでは入館です

チケットは、駐車場正面の大手門で購入します。

大手門裏手には、レトロなランプが設置されています。

敷地三万坪とあって、まずはこの広い道をぐるっと回って、本館などのある敷地を目指します。

まずはお昼ごはん

展示を鑑賞する前に、まず江戸時代に建てられた両毛地方の豪農の居宅を移築して作られた栗田山荘で、ご飯をいただきます。
この栗田山荘までは大手門から徒歩5分位あります。

ここは、古民家のおうちで、広い土間にテーブル席、畳の間に座卓席があつらえてあります。
くらげは、座卓に座りのんびりとご飯をいただくことにします。

頼んだのは、麦とろ定食です。

アップでどーん!

麦とろは出汁が効いていて、おかわりしたいくらいおいしかったです。あと、小鉢は干し大根をごま油で炒めたやつで、パリパリしていてご飯が進みます。
汁物は豚汁です。漬物は浅漬けでさっぱりしていて、これもご飯が進みました。

本館で焼き物を鑑賞

本館前の敷石には、この美術館の由来が刻まれています。

この栗田美術館は、創立者の故栗田英男(平成8年没)が蒐集した伊萬里・鍋島焼の名品、約400点がところ狭しと展示されています。
展示されている焼き物は、有名な陶芸家の手によって作られた作品ではなく、いずれも無名の陶工たちが作陶した作品のみを扱っています。

伊萬里・鍋島焼の特徴は、真っ白な磁器土を素焼きした後に呉須(酸化コバルト)や錆釉で絵付けをし、上から透明釉をかけてから本焼きをする染め付け、素焼きした素地に青磁釉をかけて本焼きをする青磁などがあります。
染め付けには呉須一色のみのシンプルなものと、赤、金、青などを使用した色とりどりのものがありますが、どれも非常に緻密に模様が描かれており、伊萬里・鍋島焼きが盛んだった江戸時代から300年経った今でも焦ることなく色彩が残っています。

資料館で伊萬里・鍋島について知る

こちらは、伊萬里・鍋島についての資料を揃えている資料館です。

鍋島焼は、伊万里南部にある大川内山にある鍋島藩直営の窯でのみ作られており、藩主の所用品や将軍家・諸大名への贈答品などの高級品を主に焼成していました。

一方、伊万里で製作された焼き物は、1647年に中国商人によってカンボジアに伊万里磁器が輸出されるようになります。1650年には初めてオランダ東インド会社が伊万里焼(有田焼)を購入し、ハノイに納めたことにより品質水準が確認され、1659年より大量に中東やヨーロッパへ輸出されるようになります。

こうした背景から、故栗田英男はヨーロッパに向けて出航した多くの船がインド洋で遭難し沈没していることに目を向け、自費を投じてインド洋の各島々に眠る伊萬里焼の発掘調査に乗り出します。
そうして得た成果である、インド洋で発掘した割れた焼き物たちが、この資料館に多く展示されています。

また、伊萬里・鍋島焼の制作風景が写真で説明されており、興味津々で鑑賞しました。

歴史館で伊萬里・鍋島の歴史を知る

こちらは、歴史館です。

前述のとおり、その品質の高さを認められた伊萬里焼は、盛んに中東やヨーロッパ諸国に輸出されます。その中で、オランダ東インド会社の略号、「VOC」をデザイン化して染め付けたものや、ロココ調のデザイン、燭台などの金属を取り付けたもの、紅茶やコーヒーセットなど、欧州向けにデザインされたものも多く見受けられます。
また、フランスのセーブル製作所は伊万里焼の柿右衛門風絵付けを下地にした鮮やかな色彩の装飾が施されており、マリー・アントワネットが愛用したことでも有名です。

製品の多くは皿や食器が主ですが、ここで展示されている製品は、高さ150センチくらいはある巨大な壺もあります。どうやって焼いたのか非常に気になります。

緑の小径を通って栗田嵐嶽記念館へ

敷地内には、緑豊かな小径があります。

途中には、蜘蛛の巣にかかってしまった囚われの花びらが。

こちらが、栗田嵐嶽記念館です。

創設者栗田英男には、弟が一人いました。名を栗田嵐嶽といい、生前には一度も作品を公表したことのない芸術家です。
孤高の芸術家と呼ばれた栗田嵐嶽の作品は、書、陶芸、日本画と多岐に渡ります。

入ってすぐには、彼の作った素焼きのままの陶芸作品、そして大きな自画像、書が飾られています。2階には、仏画が飾られており、仏様がとても慈愛に満ちた表情を浮かべていて思わず見入ってしまうほど惹かれるものを感じます。その絵を見ていた年配のご婦人が、「無理かもしれないけど、こんな風になりたいわ」とご主人に呟いていました。

こちらは、登り窯。小さな部屋が連続しており、余熱を利用しながら焚き上げていく形式の窯で、大量に陶磁器を焼成することができます。

窯焚きは4段階かけて行われ、一段回目は窯内の水分を抜くための捨て焙り、二段階目は本焙りといい1日掛けて焼き上げ温度の1,300度まで上げていきます。三段階目は攻め焚き。各部屋の横にある小口から薪をいれていきます。四段階目はねらしといい、焼きムラをなくすために30分ほど一定の温度を保ちます。
最後に、焼いた時間だけ焼き物を冷ましたら、ようやく窯出しとなります。

陶磁会館で金襴手作品を鑑賞

ここは、陶磁会館。企画展の展示をしています。また、喫茶店も併設されており、優雅にお茶を楽しむこともできます。
今回の企画展は、「伊萬里 金襴手の一品」です。3月18日から8月27日まで開催されています。

元禄時代、伊万里焼では、それまで花形だった柿右衛門に代わり新たな様式が展開されます。染め付けを施した端正な素地に、細密で濃厚な上絵の具を乗せて図案を描き、さらに金彩をたっぷりと加える伊萬里金襴手という様式が登場しました。この様式は、国内向けと輸出向けの2つの流れを生み出します。

今回の特集では、金襴手の代表作である鉢類や皿やお椀などの国内向け作品と大皿や大壺などの輸出品が展示されています。

ぐるりと一周して戻る

そして、ぐるりと一周して元の大手門に戻ってきました。

大手門手前には大きなミュージアムショップがあり、いろんな伊万里焼の器が売っています。
どれも欲しくなるような素敵なものばかりです。

締めくくり

冒頭で「日本の名だたる焼き物に関する知識を蓄えたい」とかマジメなことを言っていますが、この美術館を知ったのは偶然です。

本当は、すぐ近くのあしかがフラワーパークに行く予定でした。しかし、最寄りの富田駅から歩いている途中で急に大雨に遭遇、さらにフラワーパークもチケット売り場から激混み様子だったので引き返し、「世界最大級の陶磁美術館」という看板の触れ込みに惹かれて入ってみることにしたのがキッカケです。

何はともあれ、ご飯おいしかったし陶磁器の勉強ができたのは大収穫でした。
違う企画展も見てみたいので、またそのうち訪れてみようと思います。

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