舞台技術・芸術関連の記事は移動しました→xSTAGE

明治に建てられた劇場、康楽館で大衆演劇を鑑賞【横手滞在記】

秋田県横手市出身の友人と一緒に19日から22日までの3日間、横手市内とその周辺を巡る旅の第二弾です。

今日は秋田県小坂市にある古い劇場の見学と大衆演劇の鑑賞をします。

前日のお話:家の中に建てられた蔵のある町、横手市増田を訪ねる【横手滞在記】

小坂町は秋田県と青森県との県境にあります。交通の便が非常に悪く、近くに鉄道路線はありません。そのため同じ県内でありながら、奥羽本線横手駅から電車と新幹線と高速バスを乗り継いでも4時間から5時間掛かります。東京に帰れてしまう時間です。

そこで今回は駅前でレンタカーを借りて向かいます。車だと秋田自動車道と東北自動車道を乗り継いで2時間34分ほどです。

レール&レンタカーでレンタカーを借りる

今回、JRを利用しているためレンタカーはレール&レンタカーを利用することにしました。利用条件を満たせば、同乗者全員のJR線乗車券が20%割引、特急料金やグリーン料金等が10%割引で利用できます。

利用方法は、まずここのサイトでレンタカーを予約します。会員登録しなくても予約可能です。予約が完了したら、予約番号を持ってみどりの窓口で予約します。そのときに、クーポンや割引はレール&レンタカーを使用する旨を窓口で伝えます。

きっぷと一緒にレンタカーのクーポン券をもらうので、レンタカーの店舗で受付する際に提示します。このクーポン券がないと割引が受けられないのですが、くらげは駅の反対側にあるホテルにうっかり忘れてきてしまいましたが、寛容な対応をしていただき返却時に提示することになりました。

今回借りたのは軽自動車で、車種は日産のDAYZです。

康楽館で大衆演劇とレビューショーを鑑賞

こちらが、康楽館です。2009年に廃止された小坂製錬小坂線の小阪駅のすぐそばにあります。東北自動車道小阪ICからは5分位のところです。

ちょうど康楽館では常打ち芝居の初日が19日に開けたところで、10時30分からと14時からの2回公演で毎日上演されています。

しかし、レンタカーの営業所の営業時間が8時からで、到着時間が2時間35分。片側一車線の秋田道で時間がかかり、到着したのが10時45分。トイレに行ったりなどしていたら入場したのが開演から20分後になってしまいましたが、それでも途中入場は可能です。

客席は椅子ではなく土間になっており、座布団を敷いてる部分に座ります。寒い地域とあって石油ストーブが置かれており、温まりながら鑑賞することができます。客席は飲食可ですが持込みは不可です。

1階席で芝居を見る

第一部はお芝居です。内容は人情話です。

お芝居〜風に泣く〜
白鷺一家の二代目が旅に出て、一家を任されることになってしまった頼りない三代目・・・
そんな三代目は背と背の間柄の横車一家の一人娘【おりゅう】に想いを寄せていた。
白鷺一家を疎ましく思い、縄張りを狙っている横車一家は、この状況を好機と見て、
白鷺一家三代目に対して罠を仕掛けるのであった。

果たして両一家の趨勢(すうせい)はどうなっていくのか・・・?

白鷺一家の三代目はまるで阿部サダヲみたいな感じの雰囲気です。一方で横車一家の親分は古田新太のような感じといえば雰囲気は伝わるでしょうか。
自分の不始末で白鷺一家の危機を招いてしまった三代目が途方に暮れていると、旅に出ていたはずの二代目が白鷺一家に戻ってきます。最初は二代目に自分のやらかしたことを黙っていますが、二代目はすべてお見通し。自分でやったことは自分で落とし前を付けるために腹を切るよう促しますが、何とかそれだけは避けたいとすがる三代目。

大衆演劇とあってどうせこの話もけっきょくは三代目が死なない方向に持っていって喜劇で終わらせるのだろうと思っていました。
しかし嫌がっていた三代目は、最後に覚悟を決めて自分で自分の腹を切り、二代目はきっちり方を付けるために手下たちに弟である三代目の首を切らせるのです。

おお・・・・なんだか目から体液が流れてきたぞ。

約束通りに弟の首を抱えて横車一家の元へ一人で向かう二代目。弟のことをバカにされた二代目は刀を抜きますが、多勢に無勢。二代目は窮地に立たされます。そこへ助太刀に手下たちが登場。二代目の敵を打ちます。
きっちりと方を付けた二代目は、手下たちに組を任せて再び旅へと出ようとします。そこへ、強い風が吹いたと思ったら風に乗って三代目の声が流れてきた瞬間、くらげの目からは大量に体液が放水されていました。

2階席でレビューショーを見る

途中で20分の休憩を挟んだ後は、レビューショーです。せっかくだから2階席で見てみようと係の方に聞いてみたら2階に上がってもいいとのことだったので席を移動しました。

2階席は1階席をぐるりと囲むように位置していて、上手と下手の突端にはフロントサイドライトが吊られています。せっかくなので照明も鑑賞しておきました。ここに吊られていたのはパーライトです。

2階席のセンターの奥には松村のMPがピンスポットとして使用されています。レビュー中はキュー出しの声が聞こえてきていました。

そして、レビューショーの開演です。このレビューショーでは写真撮影可なのでバンバン撮っちゃいました。
レトロな劇場ですが、照明機材はLEDやムービングライト、パーライトがふんだんに使われています。

内容としてはほとんど派手な新舞踊といった感じです。

花道にある迫り(切穴・すっぽんともいう)からの登場。この迫りは人力です。

最近ではめったに見ることのないフットライト。意外ときれいです。客席の紫の布に出ている模様はムービングライトで出しています。

こちらは廻り舞台が稼働する演出。こちらも人力で回しています。

こちらが主演の三峰達さん。色っぽさを感じます。

レビューショーは1時間ほどあります。途中でお客さんを舞台に上げる体験コーナーなんかもありましたが、正直なところちょっと長いなと感じてしまいました。できれば殺陣などの立ち回りも盛り込んでくれたらもっとおもしろかったのになと思いました。

そして終演。2階客席には窓が付いていて、カーテンを開ければとても明るくなります。

舞台裏を見学する

終演後は、舞台裏を見学することができます。

まずは客席から。一番下手側が本花道、真ん中と上手側が仮花道です。

建物の内観はすべて和風建築の様式ですが、天井は洋風の様式です。

こちらは2階席一番奥にある向こう席です。ここは、歌舞伎で屋号を呼ぶための人たちが座ります。

続いて、舞台機構などの舞台裏を見学します。

こちらが切穴(すっぽん)です。

こちらは廻り舞台。ろくろ仕掛けになっていて、4人で回します。

周りは石垣になっていて隙間風が多いので冬は寒そうです。

でっかい車輪で回しています。

奈落の底から舞台へと上がってきました。こちらは下手の黒暖簾。歌舞伎では音楽が演奏される場所ですが、お芝居では着替えの場所として使用しています。

下手袖。

こちらは舞台奥にある大部屋の楽屋。この舞台に立ってきた明治時代からの役者たちのサインや落書きが壁や天井にびっしりと残されています。奥の方には著名な俳優による貴重なサインも残されており、その部分は保護するためにアクリルが張られています。

こちらは上手袖。綱元があります。

それとアンタリ。

客席に戻ってきました。1階席の上手側奥には臨監席が設けられています。この席は戦前の一時期に言論統制があったときにこの席に警察官が座り監視していました。公演中に不適切な表現があると、公演は即時中止になりました。

鉱山事務所のあかしあ亭で昼食

ここ小坂町は鉱山で栄えた町で、明治時代には銀の生産高が日本一になりました。1905年(明治38年)に小坂鉱山の事務所として鉱山事務所が建設されました。1997年に小坂製錬で新しい事務所を建設するにあたり小坂町へ譲渡され、500m南方に移築保存されて今に至ります。

こちらは、鉱山事務所を訪ねてこられた鉱山技師の夫婦。くらげのじいさまも隣町の鹿角市にある尾去沢鉱山の鉱山技師で、戦時中は朝鮮半島に赴任していました。

この鉱山事務所は館内見学ができるだけでなく、お土産ショップやレストランも併設されています。今日のお昼ご飯はこの鉱山事務所内で食べることにします。

あかしあ亭は明治の洋風建築のレトロな雰囲気が素敵なレストランです。窓はサッシではなく木枠になっていて風が吹けばカタカタと音を立てます。そこがまたレトロでいいです。

くらげが頼んだのは煮込みハンバーグ。友人が頼んだのは小坂町の桃豚というブランド豚を使った生姜焼き。ハンバーグはおいしかったです。

鉱山事務所内を見学する

おいしいお昼ご飯を食べた後は、鉱山事務所の中を見学します。

鉱山事務所は総秋田杉造りの3階建てのルネッサンス風の建物です。

こちらは3階まで続いているケヤキでできた螺旋階段。

こちらはサラセン風のバルコニー。藤の透かし彫りが施されています。

展示内容は、小坂町の歴史や小坂鉱山の歴史を知ることができます。他にも企画展などもありますが、ちょっと物足りない感じが否めませんでした。

帰りは盛岡ICから下道で帰る

時間は15時過ぎ。たっぷりと堪能したところで帰路に着きます。と、その前に今回の旅のお供を紹介します。日産DAYZです。

やはり軽自動車だと高速道路で追い越し車線で速度上げるときはかなりきついです。あと、この車の特性なのかアイドリングストップ機能の影響なのかわかりませんが減速時にガクガクとMT車でギアが噛み合っていないような振動がときどき発生します。

道の駅雫石あねっこでソフトクリームを味わう

新幹線と並走している国道46号線を盛岡から雫石の方へ向かっていると、道の駅が現れました。「雫石あねっこ」です。道の駅と言えば、やっぱりソフトクリームです。
ということで、さっそく寄ってみました。

こちらがひとめぼれとミルクのミックスソフトです。

ミルクのコクがひとめぼれの味をかき消していてひとめぼれの味がわかりませんでしたが、さほど甘くなくすっきりしていておいしかったです。

雫石を過ぎると、気を抜けない山道へと差し掛かりました。アクセルはかなり踏み込んだ状態で急カーブとトンネルの続く道を駆け抜けます。
やがて景色が開けると、目に飛び込んできたのは水芭蕉の群生地。すでに時間は18時を回ろうとしていますが、せっかくなので寄ってみることにします。

刺巻湿原でミズバショウを愛でる

ここは刺巻湿原ミズバショウ群生地です。広いハンノキ林に囲まれて、湿原一帯にミズバショウが咲いています。湿原の広さは約3hあります。
湿原の中には通路が設けられており、散策しながらミズバショウを楽しむことができます。

くらげがミズバショウを見るのは初めてです。ミズバショウは尾瀬でしか見られないものだと思っていました。花の匂いも漂っていますが、いい匂いではなく微妙でした。

「あ、あっちの方にものすごく密集して咲いているよ」と近づいてみたら思ったよりはまばらでした。

さらに角館方面に進み、神代駅から県道50号線を下り、次の目的地である美郷町を目指します。美郷町は水の豊かな街で、湧水群があちこちに点在しています。ここ美郷町の湧水を使って作ったニテコサイダーが有名なので、サイダーを求めて美郷町へ向かっています。

県道50号線の周りは開けていて、とても長閑な風景がどこまでも広がっています。運転していなかったら写真は撮りまくっているはず。

美郷町で湧水を味わう

時間はすでに19時を回り、辺りは真っ暗な状態。ここからは、画層無しでお送りいたします。

県道50号線から国道13号線方面へ向かい、「名水市場湧太郎」というアンテナショップに入りました。
ここ湧太郎には、酒蔵を改修したホールやレストラン、資料館などがあります。すでにショップや資料館は閉館していましたが、市場の館内には名水が湧いていて味わうことができました。味はありませんがまろやかな感じです。

しかし一番の目的であるニテコサイダーを手に入れることができず、残念な気持ちで横手に戻りました。どうせなら、明るい時間に巡りたいものです。美郷町には他に温泉やラベンダー園もあるので、今度はじっくり美郷町の観光を楽しみたいと思います。

次のお話:横手駅周辺の観光スポットを巡る【横手滞在記】

おさらい

明治の芝居小屋 康楽館
道の駅 雫石あねっこ
秋田県美郷町|六郷湧水群

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください