そらいろくらげが浮き輪で海に浮いているイラスト

現代のお話と劇中劇が交錯するマクベス

本日の舞台
オペラシアターこんにゃく座『オペラ クラブマクベス』@吉祥寺シアター

毎回、楽しみにしているこんにゃく座の舞台です。マクベスは観たことがなかったので、初めて観るマクベスがオペラとなりました。

あらすじ

くたびれた中年男がふと立ち寄ったのは、酒場かキャバレーか、はたまたどこかの劇場なのか、その名も“クラブ・マクベス”では、夜な夜な「マクベス」が上演されているという。
門番に誘われ、次第に劇にのめり込んでいく男は、やがて魔女の予言にまどわされた劇中のマクベスに同化し、ダンカン王を殺害して王位につく。その傍らには、共に手を血で汚し、王妃となった妻の姿が。破滅の未来へ向かって虚構と現実を迷走した男が、芝居の終わりに行き着いた先は……。
(劇団サイトより抜粋)

感想

吉祥寺シアター

吉祥寺シアターは初めて来た劇場ですが、間口が広すぎず芝居にちょうどいい広さです。客席は急勾配になっていて、くらげのようなちっちゃい人でも前の人で舞台が隠れることがなく見ることができます。さらに、劇場前にベンチがあって待ち合わせにも適しています。
ただ、受付スペースが狭くて終演後に出演者を待つには狭く感じました。実際、今回は関係者を待つ場所がなくて、すぐに出てしまいました。
今回は、初演と同じシアタートラムの雰囲気を出したくてこの場所にしたそうです。

セット

舞台を前後に区切るように、真ん中らへんには古びたプロセニアム・アーチと電飾が設置されていて、赤い緞帳が垂れ下がっています。緞帳の奥はクラブ・マクベスの舞台という設定です。舞台前はクラブのお客様が座るスペースで、雑然と椅子と丸テーブルが1セットのみ置かれています。
下手は、クラブマクベスの看板と柱、その1番下手が演奏者スペースでピアニストとパーカッショニスト、クラリネット奏者が演奏します。
奥の舞台部分はとても低い天井になっていて、人の高さくらいの位置に客席方向に当てるパーライトが仕込まれていて、印象に残りました。

照明

印象的だったのが、ナトリウム灯です。なんかやけにぺたっとした黄色い明かりが使われているなと思って見上げたら、ナトリウム灯でした。
以前、とある劇場にいたときにシェイクスピア劇でとあるプランナーさんの明かりを見ていたのですが、この芝居も蛍光灯やHMIを使ったペタッとした明かりが作られていたので、シェイクスピア劇ってこういう明かりが合うのかなと思いました。

内容

一人の中年サラリーマンと思しき酔っぱらいが、クラブ・マクベスという店にたどり着き、店の門番に誘われるまま中に入ります。
そこでは、夜な夜なマクベスが上演されているので観ることにしました。

舞台は戦場。血まみれで駆け込んできた兵士により、国王ダンカンはスコットランド大勝利の報告を受けます。グラミスの領主マクベスは、友人バンクォーと陣営に戻る途中、荒野で3人の魔女に出会います。魔女達はマクベスに対し「万歳、コーダーの領主」「万歳、いずれ王になるお方」と賞賛し、バンクォーには「王にはなれないが、子孫が王になる」と予言し消えていきます。そこへダンカン王の使者が現われ、マクベスが新しくコーダーの領主に任ぜられたと伝えられます。魔女の言葉通りとなったことに2人は驚き、マクベスは小心ながらも王になるという予言に対して野望を膨らませます。

現代で起きている出来事と重ねながら観ている男は、期待するマクベスに対して「油断するな、罠だ」と口を挟みます。
その後、ダンカンが跡継ぎを息子のマルカムに定めたことに対し不安を覚えたマクベスは、マクベス夫人にことの成り行きを伝えますが、夫を王にしたいマクベス夫人は国王暗殺計画を持ち上げます。そして、婦人に叱咤されてダンカンを暗殺するマクベス。

ふと自分のしたことに気付いて茫然自失のまま、自分の家へと戻るマクベスですが、暗殺に使ったナイフを持ってきてしまいます。もう戻れないという夫に対してマクベス夫人がナイフを殺害現場へと戻し、血まみれの2人は手を洗い流して寝室へと戻ります。

朝になり、王を起こしに行った従者が惨殺されている姿を見つけ、城内は混乱。自分たちの身を危ぶんだ息子二人はそれぞれ別の国へと逃げていきます。そのことで息子に嫌疑が掛かり、王の後継者はマクベスが指名されることとなりました。

自分のことと舞台で起こっていることを重ねあわせる男。やがて男は舞台の中へと入り込み、観ていたはずの男がマクベスへとなります。
そこからスコットランド王へとなったマクベスですが、魔女たちの予言を恐れてバンクォーを暗殺します。そして、魔女たちの予言に振り回されたマクベスは、次第に暴君と化していきます。一方、マクベス夫人もいつしか言い知れぬ不安に蝕まれて夢遊病になり、血まみれになった手を洗うしぐさをしながらダンカンを暗殺した行為を嘆き続けます。

やがてダンカンの元従者だったマクダフと亡命していたダンカンの息子マルカム王子が結託して、マクベス討伐へと向かいます。
自分を討伐するために侵攻してくるイングランド軍を前に、次々と予言の外れていくのを目の当たりにしたマクベスは、やがてマクダフと対峙。ついにマクダフの手によって討ち取られます。マルカム王子が光景の王になったところで、舞台の幕は閉じていきます。

そして、しんと静まり返った客席に残ったのは、店の門番と丸テーブルに突っ伏したまま動かない男。そして、魔女のボス役だった人にから男の妻がガス自殺を図ったことが告げられます。
観ていた男が自分と重ねたように、マクベスというのは現代のにも通じるようなお話なのかみしれないと思いながら観ていました。もちろん、暗殺だとか血なまぐさいことはないにしろ、権力という野望に魅せられる輩はそこかしこにいます。規模の大きい小さいに関わらず、組織というものに属していればなおさらです。

野望なんてものはいらない。権力というものに囚われた幻想だ。
そんなものに囚われずに、もっと自由に生きたいとくらげは思います。だって、クラゲだもの。



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