そらいろくらげが浮き輪で海に浮いているイラスト

映画で見る舞台【夏の夜の夢】

文化村ル・シネマで、2014年にニューヨーク・ブルックリンにあるTheatre for a New Audience で上演された舞台「夏の夜の夢」を収録した映画を観てきました。

作品の概要

夏の夜の夢は、言わずと知れたシェイクスピアの喜劇作品です。この作品は20歳くらいのときに新宿のスペース107で観劇し、3年前に市民劇団の公演の現場に付いて慣れない芝居の現場で四苦八苦してこれで3度めとなります。

今回の夏の夜の夢は、トニー賞受賞演出家ジュリー・テイモアが手がけて大ヒット舞台となった作品です。上演と同時に撮影も行われ、撮影監督には「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のロドリゴ・プリエトや音楽にはアカデミー賞受賞作曲家エリオット・ゴールデンサールも参加し、映画としても見応えのある傑作に生まれ変わりました。
キャストには、英国舞台界最高峰の賞とされるローレンス・オリヴィエ賞を受賞した経歴をもつキャサリン・ハンターや、映画「ブラッド・ダイヤモンド」に出演したデヴィッド・ヘアウッド、その他オクウィ・オクポクワシリなど、現在舞台で活躍するトップクラスの俳優が出演しています。

スタッフにも、ロンドン五輪閉会式を担当したエス・デヴリンが装置・美術を担当し、照明には「ライオンキング」でトニー賞最優秀照明デザイン賞を受賞した経歴をもつドナルド・ホルダー、衣装はトニー賞ノミネート歴をもつコンスタンス・ホフマンが担当しました。
(ル・シネマ作品紹介より抜粋)

くらげは、以上の詳細は全く知らないまま知り合いのツイートでこの作品の存在を知って興味を持ち、鑑賞することとなりました。

感想

舞台は、T字型になっていて前方は客席から挟まれるようにあります。なので、お客さんは舞台を間近に観ることができるような作りになっています。
開演とともに、ぽつんと舞台上に置かれたベッドへやってきたのは、背が小さくて股の深いパンツに白いシャツ、サスペンダーを付けた一人の役者。顔を真っ白に塗っていて、若いようで年を取っているように見えます。男性にも見えるけど女性にも見えます。まるで道化師のようにおどけたしぐさでベッドに寝転がります。

すると、ベッドが持ち上がっていきベッドが無数の枝によって支えられているのが見えました。と思ったら、チェーンソーを持った職人が枝を切っていきベッドが落ちるかと思った瞬間、ベッドの上からするするとシーツが四方に広げられていき、舞台上を覆っていきます。ベッドの上にいた役者はぐんぐん上へと持ち上がっていき、やがて姿が見えなくなります。
そして、舞台上に張られたシーツに照明が当たり、作品のタイトルの”A Midsummer Night’s Dream”が浮かび上がります。

そのあとは、おなじみのお話が始まります。最初に登場した白塗りの役者は、キャサリン・ハンター演じる妖精のパックでした。パックといえば女性の役者がやんちゃに演じることが多いのですが、この作品のパックは性別も年齢も感じさせず、ぐにゃぐにゃと柔らかい身体を巧みに操って舞台を掛け回る姿は、まるで妖精でもあり道化師のようでもあります。

舞台上にほとんど大きなセットは登場しません。あっても屋敷の扉などのみです。宙に舞う白い布や黒子たちが手に持った竹の棒で表現される森など、舞台奥に設置されているリフト、迫りなどをうまく使って不思議な森の中を表現しています。

特に、白い布に照射されるプロジェクションマッピングは圧巻です。観るものすべてを引きこむような壮大な世界観で物語を引き立てています。
映像の面でも、ただ舞台作品を収録しただけの作品ではなく、まるで演じている役者のすぐ近くにカメラがあるような錯覚を覚えるカメラアングルに、これが舞台作品であることを忘れそうになります。様々な角度から撮られているため、役者の動きを見逃すことがありません。収録だとどうしても引きの絵が多くなりがちですが、この絶妙なカメラワークはこの舞台ならではだと思います。
また、音楽の方も独特な曲で印象に残りました。テンポの良いブラス系という感じです。

物語は知っているはずなのに、この先どうなるんだろうと目の離せない展開が続きますが、ときには笑えるシーンもあります。恋人たち4人と職人たちのやりとりはコミカルなシーンが多くありました。
妖精の王オーベロンと女王ティターニアはさすが貫禄があります。最後に仲違いしていた二人が仲直りして夜が明ける前に踊るのですが、そのシーンがとても官能的でした。思わず見惚れてしまいました。

148分と長い作品ですが、あっという間に過ぎていった感じです。上映期間が20日〜26日と短めですが、ぜひ一度は見ておきたい作品です。



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