新国立美術館では、毎年3月にメディア芸術祭が開催されています。
今年で20周年を迎える今年、企画展として「文化庁メディア芸術祭20周年企画展―変える力」が東京・千代田区のアーツ千代田 3331で10/15〜116まで開催されています。毎年欠かさず見ているくらげとしては、見逃せない企画なので、開催終了まで残り2日となったなった今日、見に行ってきました。
メディア芸術祭とは
文化庁メディア芸術祭はアート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において優れた作品を顕彰するとともに、受賞作品の鑑賞機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバルです。
平成9年度(1997年)の開催以来、高い芸術性と創造性をもつ優れたメディア芸術作品を顕彰するとともに、受賞作品の展示・上映や、シンポジウム等の関連イベントを実施する受賞作品展を開催しています。
(公式サイトより抜粋)
くらげは、たまたま数年前に新国立美術館に行ったところ開催していて、なんとなく入ってみたら面白かったというのがキッカケで知りました。実際に触って体感できる作品も多く、楽しめる作品展です。
企画展を鑑賞
アーツ千代田 3331は、統合で廃校となった中学校を再利用して誕生した、アートセンターです。地下1階と地上3階で構成されていて、元教室だったところにはギャラリーやオフィス、カフェなどが入居しています。
それでは、くらげが気になった作品をご紹介します。
まずは、1階メインギャラリーから見ていきます。
突き出す、流れる
こちらは、磁性流体と電磁石を使ったアート作品。
黒いものは磁性流体。オイルと磁力を持った液体でできていて、下に組み込まれている電磁石によって動いています。
オイル自体が重いため、左右に自由変形したあとは下へ吸い込まれるように落ちていきます。やがて、磁力が弱まりまた上へと現れます。
という説明を近くにいた係員の方に聞いていたときには動いていたものの、そのあと写真を撮りながら待っていたらなかなか動いてくれません。
5分近く待って、やっと動きに変化が。
このあと、沈みゆくさまを見てみたかったのですが、5分待っても動きがなかったので諦めました。
参考映像
Vectorial Elevation, Relational Architecture #4
照明家としては、やっぱり気になる光の作品。
こちらは、2000年にメキシコシティで開催されたニューイヤーイベントのために制作した、インタラクティブなアートプロジェクトを記録した映像です。市内の歴史地区に正方形に設置された18のサーチライトには、プロジェクトホームページを介して、あらゆるネットユーザーがアクセスすることができ、オンライン3Dシミュレーションプログラムで操作することで光の彫刻を具現化しています。
間近で見てみたかったなぁ。
実際の映像をご覧ください。
Kinetic Sculpture — The Shapes of Things to Come, 2008, BMW Museum, Munich, Germany
天井に吊り下げられた700個の以上の金属球が滑らかに上下に動き、次第に車の形を作っていきます。はっきりと車をかたちづくるわけではないのですが、過去から現在までのBMWを代表する5つの車種のかたちを作りながら、動きを繰り返します。
詳しくは、映像でご確認ください。
Pendulum Choir
9人の声楽家の身体を、コンピュータ制御された18の油圧ジャッキからなる機械で揺らしながら、合唱させています。
角度が変われば音色も変わるということで意図はわかるのですが、見ていてなんとも言えない作品です。
IS Parade
auのプロモーションサイトとして制作された、Twitterアカウントで楽しめるジェネレーターです。TwitterのIDを登録すると、自分のフォロワーがキャラクターになってパレードします。
パレードは一見雑然としているようにも見えますが、よく見ると"LOVE"という文字を形作っています。
詳しくは、こちらでご確認ください。
FONTPARK 2.0
普段、デザインでお世話になっているフォントメーカー、モリサワのウェブサイト上のコンテンツです。文字を一画までばらして、好きなように組みあわせてイラストを描くことができます。
実際にパソコンで操作できるようになっていたため、やってみました。字は、「色は匂えど散りぬるを(以下略)」です。
説明するより、やったほうが早いです。
FONTPARK
ジョジョリオン ―ジョジョの奇妙な冒険Part8―
ジョジョってまだ連載していたんですね。高校のときに友人に勧められて読んでから、一時期ハマっていました。
『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの第8部は、物語に2011年に発生した東日本大震災を取り込んでスタートする。M県S市杜王町。震災で隆起してできた土地で一人の青年が発見された。記憶を失っていた彼は「東方定助」と名付けられ、自らの素性を探りはじめる。
growth modeling device
タマネギの地上部分が成長する姿を、3Dプリンターによる立体像として複製する動的なインスタレーションです。ものすごい簡易的な作りの3Dプリンターとその横に芽の出た玉ねぎが金属に串刺しで固定されている状態で成長しているところが、なんとも言えずシュールです。
動いている映像。
勝手に入るゴミ箱
ゴミを投げると、ゴミ箱自らが動いてキャッチしてくれる作品です。
センサーを壁に備え付けておくと、ゴミを投げたときに検知して落下位置を予測します。そして、ゴミ箱はその情報を無線で受け取り、自ら移動してゴミをキャッチする。ゲームのモーションキャプチャなどに用いられるセンサー、Bluetoothによる無線通信、独自の駆動メカニズムなど、いろいろな技術を融合させて作られています。
映像を見ていると、ものすごく簡単に設計して部品作りから初めてサクッと組み立てて完成させているので、その技術力と頭の良さに驚きました。
制作過程から実際に動くまでをまとめた動画をご覧ください。「いやいや、そんなかんたんに作れないだろ!!」って突っ込みたくなります。
プロセッシング
マサチューセッツ工科大学所属の研究者、ベン・フライとケーシー・リースが開発したオープンソースプロジェクト「processing」で描かれたグラフィック作品です。
2001年のリリース以降、アーティストのみならず、学生、研究者、デザイナーらが活用しているそうです。
きっとこの言語を使えば、いろいろな表現ができるんでしょうけど、くらげには何がなんだかさっぱりです。
公式サイト:processing
handiii
3Dプリンターで出力したパーツと、スマートフォンを制御に利用した筋電義手です。筋電義手とは、腕の皮膚上で計測される筋肉の微弱な電気信号(=筋電)を介して、直感的に操作できる義手のことを指します。3Dプリンターの出現により、非常に高価だったこの種の義手の材料費を3万円以内に抑えることができます。
こういう技術、もっと日の目を見てもいいのにな。
じっさいに動いている映像をどうぞ。
エンターテインメントロボットAIBO
最後は、みなさまご存知のこちら。
言わずと知れた、ソニーのAIBOです。このAIBOも受賞していたんですね。
締めくくり
以上で、歴代受賞作品のご紹介を終わります。
このメディア芸術祭に出典される作品は、アート作品のみならず映像や最新テクノロジーといったものを駆使した作品も多く見られるため、テクノロジーの進化が垣間見れておもしろかったです。
さて、次の芸術祭はどんな作品が登場するのか、今から楽しみです。
アートには疎いのですが、これは面白そうですね!
テクノロジーの進化的な方にそそられます。
と思ったら終わってましたね…
いらっしゃいませー。
メディア芸術祭自体は、毎年3月に新国立美術館で開催されていますので、来年ぜひ足を運んでみてください。
お子さんも一緒に楽しめると思いますよ。