照明お話し会の詳細レポート

1月5日に、くらげが初めて企画した照明のイベント、「照明お話し会」を横浜の都筑公会堂で開催しました。

照明お話し会は、舞台照明の歴史や機材に関する造詣が深いアマチュア舞台照明家の電気マグロ(@denkituna)さんと共同で企画したイベントです。

開催当日は基調講演や照明効果のデモンストレーションが行われ、参加者同士の交流やトークセッションなどで盛り上がる結果となりました。

この記事では、照明お話し会の詳細レポートをお送りいたします。

イベントの詳細

内容は第一部が電気マグロによる、初心者向けの基調講演。第二部はそらいろくらげによる、ホリに出す効果明かりのパターンを考える「ホリ出物百景」、第三部は事前に参加者からいただいていた、「照明のことで日頃考えていること、疑問に思っていること、経験したトラブル、苦労話」について話し合うトークセッションの三部構成です。

宣伝から開催まで1ヶ月という短い期間でしたが、それでも20名以上の申込みがありました。

第一部 電気マグロの基調講演

電気マグロ氏の基調講演は、舞台照明の基本からトラブルシューティングまでを網羅した初心者にもわかりやすい内容でした。

講演時の手元を撮影するために、ライジングクルー合同会社(@risingcrew)さんにカメラやスイッチャー機材などの機材協力をいただいております。

舞台照明については書籍やネット、ワークショップなど様々な形で教わることはできますが、その多くは短い時間の中で隅々まで理解することは難しいものです。
電気マグロさんのように、ここまで実践的なことをロジカルにわかりやすい説明のできる人は、そういないのではないでしょうか。

第二部 ホリ出物百景

休憩時間を挟んで、くらげによる「ホリ出物百景」です。ここでは、「出物」というホリゾント幕に出す照明効果についてのデモンストレーションです。
サーチなどのよく使われているパターンを中心に、20種類近くのパターンを考えてみました。

一部パターンは、Twitterのフォロワーさんからのご提案を採用しています。

それでは、一つづつ説明していきます。

ナナメサーチ

1kWの凸レンズスポットライトをオベタでホリゾント幕の前に置いて、ナナメにサーチ上の明かりを出しています。

下手側に暖色系の#17,#40,#33、上手側に寒色系の#67,#57,#88を入れているので、それぞれ違う雰囲気のサーチを出すことができます。また、アッパーホリゾントライトとロアーホリゾントライトの色をそれぞれ変えれば何パターンも作れてしまいます。

照明機材は、もっと狭いホールであれば500Wのスポットライトを使っても問題ありません。また、PARライトを使うともっと楽に出せます。モーガルを回す方向で出る光の太さや当たり方を調整してください。

今回は回路数が少ないため3台まとめてしまいましたが、フロア回路が潤沢にある場合は1台1回路にしてチェイスを組んだり、手でチェイスを掛けてもいいでしょう。

虹サーチ Ver.1

ナナメサーチの変形バージョンです。下手側に1kWの凸レンズスポットライトを5台、オベタでホリゾント幕の前に置いています。色は、#22/#40/#55/#77/#88を入れています。

ナナメサーチよりも少し太めにしてぞれぞれ灯体同士を近付けて隙間をなくしています。5色だけで充分虹のようなイメージを出せますが、#22より#24か#31くらいの赤っぽいアンバー(オレンジ)の方がしっくり来るような気がしました。
こちらも、500Wのスポットライト、PARライトでも使うことができます。

今度は2台のナナメサーチだけで作る虹サーチです。

こちらも、500Wのスポットライト、PARライトでも使うことができます。また、ソースフォーやリクリなどのプロファイルスポットライトを使用してもいいでしょう。

この虹には、事前準備としてカラーフィルターの切れ端を8インチサイズになるように貼り合わせるという作業が必要です。

カラーフィルターの切れ端は、大判のカラーフィルターを8インチ2枚と6インチ3枚に切り出して残った余りを使っています。なので、それぞれだいたい同じ幅になっています。
虹に使用する色はお好みで構いません。使いたい色を6色選んで、3枚1セットで8インチサイズ(縦横20.3センチ)になるように調整しながらセロハンテープで固定します。

くらげは、セロハンテープの代わりにスコッチの超透明テープを使用しています。天然素材を使用しているセロハンテープと違い、時間が経っても黄ばまず丈夫だからです。

ゴボネタを使う

ナナメサーチで使った1kWの凸レンズスポットライトのレンズを外してアルミのゴボネタを入れると、ソースフォーなどのプロファイルスポットライトの代わりに使うことができます。

使用したのは、0.05mmのアルミ板。0.05mmという厚みはなかなか見当たらないのですが、くらげは運良く東急ハンズで見つけることができました。
eggsというブランドのもので、1.2mもあるので8インチサイズを5枚取ることができます。余った分は、6インチ、ソースフォーのネタに使ってもいいでしょう。なお、アルミ板の種類は銀座伊東屋に多く取り揃えています。

今回は、丸ポチ、楕円、ハート、スリット、スクエアの5種類を作成しました。当てる照明機材は明るければ明るいほど反射が出るため、1kW以上のスポットライトがおすすめです。なければ、当てる台数を増やしてください。

丸ポチ

丸ポチは円の大きさを変えれば変化が出ます。今回はきれいに並べてみましたが、ランダムに配置してもいいでしょう。

楕円

楕円は角丸にした長方形近い形の細長い円で作りました。下手と上手で入れる方向を変えてみたら、出方がぜんぜん違いました。

スリット

フライドポテトが散らばっているような感じで作りました。ソースフォーほどはっきり出ないので、角が丸く出ています。

スクエア

様々な大きさの四角が散らばっているような感じで作りました。あまり数を多くするとごちゃごちゃしてしまいます。

このスクエアに、先ほど虹サーチVer.2で使った張り合わせのカラーフィルターを入れてみました。色を入れてみると、また雰囲気がガラッと変わります。張り合わせたカラーフィルターを入れると、まるで万華鏡のようにきれいです。

ハートについては、出方が微妙だったため画像はありません。

メラ

1kWの凸レンズスポットライトをスタンドに乗せて、下に敷いたシートや金属板を照らして反射光をホリゾント幕に投影される効果です。この効果を、「メラ」と言います。

今回はオーロラフィルム、オーロラPVCフィルム、メタルシート、オレンジのビニールシート、塩ビミラー、ラッピングペーパーのグロスとシースルーの7種類を試してみることにしました。
塩ビミラーはほぼ出なかったので、紹介を省きます。

メタルシート

下手側は銀色の薄い素材です。

東急ハンズ渋谷店のB1A階、DIYクリエイティブマテリアルで購入しました。巻きの状態で販売されていて、1mで1,016円です。
こちらはシュッとした感じ。

オーロラPVCフィルム

上手側はオーロラPVCフィルムという、オーロラフィルムより若干厚めの素材です。厚みがあるのでクシャッとはできませんが、その分丈夫です。
東急ハンズ渋谷店のB1A階、DIYクリエイティブマテリアルで購入しました。巻きの状態で販売されていて、1mで638円です。

オーロラフィルム

下手側がオーロラフィルムです。

東急ハンズ渋谷店のB1A階、DIYクリエイティブマテリアルで購入しました。巻きの状態で販売されていて、1mで513円です。
ピンクがかった色に緑と青が少し混じっていて、薄いのでクシャッとすることができます。

実際に光を当ててみると、意外なことに緑成分が多く出る結果となりました。画像にはありませんが、当てる光に#57を入れるとより緑成分が増加してよりきれいに出ました。

ラッピングペーパー シースルー

上手側が透明のラッピングペーパーを使用しています。こちらも、東急ハンズ渋谷店の5B階、ステーショナリー(事務用品&店舗用品)で購入。
そこそこ反射が出ていますが、広がりが大きいです。

ラッピングペーパー グロス

上手側が表面が銀色になっているラッピングペーパーです。

こちらもそこそこ反射が出ています。

オレンジのビニールシート

上手側に、オレンジのビニールシートを使ってみたのですが、全体的に反射が弱くぼやっとした感じにしか出ませんでした。

オレンジ色が出たらおもしろいなと思っていたのですが、あまり出ませんでした。でも、これはこれでありかなとも思います。
同じく東急ハンズのB1A階、DIYクリエイティブマテリアルで購入しました。巻きの状態で販売されていて、1m単位の値段は忘れました。

ホリポチ

500Wの凸レンズスポットライトを3台使用しています。少し太めのフォーカスにして、ホリゾント幕から距離を離すと、サーチよりも丸みの出る丸ポチのような明かりになるので、「ホリポチ」と呼んでいます。
カラーフィルターを入れない生明かりの状態でも効果は出ますが、カラーフィルターを入れれば、ホリゾントライトとの組み合わせでいろいろな雰囲気の明かりを出すことができます。

さらに離して角度を付けると、さらに丸みが増します。その分、置く場所と照射距離を稼がないといけなくなります。

後光サーチ

500Wの凸レンズスポットライトを4台使用しています。ホリポチよりも細い筋にして、扇状に出るように当て方を調整します。この前に立つと後光が指している状態に見えるため、「後光サーチ」と呼んでいます。
今回は4台でしたが、5台だともっと後光ぽい雰囲気を出すことができます。

美術バトンからのサーチ

ホリゾント幕の手前にある美術バトンに仮設で1kWの凸レンズスポットライトを3台吊って、ホリゾント幕に照射しています。

使用する灯体は500Wのスポットライト、PARライトでも問題ありません。
ホリゾント幕に近付けて照射するときは、アッパーホリゾントライトよりも奥にあるサスペンションライトはないため、美術バトンを使うことになりますが、サスペンションライトのように回路がないため、フロア回路から回路を引っ張ってくることになります。電動ではなく手引のバトンであれば、シズの調整も必要です。

それでも、下からの照射より華やかな雰囲気が出せるので、手間を掛けてでも仕込む価値はあると思います。

フロント・サイドスポットからのホリポチ

フロント・サイドスポットの一番下段からホリゾント幕に向けてフォーカスを絞った状態で照射しています。

ゲジゲジしたものが見えているのは、電球のフィラメント(電球の内部にある、電流を流して熱電子を放出する、巻き巻きしている細い金属線)の影です。古い照明機材であるほど、こういう影が出てしまうため、絞り過ぎないように調整する必要があります。

フロント・サイドスポットはホールや劇場によって設置位置が変わるため、どこでも使える手段というわけではありませんが、フロント・サイドスポットにはこういう使い方もできるということを覚えていて損はありません。

ディスクマシン

上手と下手からディスクマシンの流れ雲を照射しています。(音声が入っています。何喋っているかは聞き取れません。)

ディスクマシンは照射角度、流れる方向を調整することが可能なので、外側に流れるようにすれば客席方向に飛んでいるように見せることができます。反対にセンターに流れるようにすれば舞台奥に飛んでいるような効果を出すことができます。
流れ雲を雲として使うだけでなく、こういった効果明かりとしても見せることができるのです。

ホリゾントライトの色を変えると、また違った雰囲気を出すことができます。

回転メラ

ディスクマシンを開いた状態で回転させてメラを出す効果です。

ゴボネタの上にゴボネタと同じサイズに切ったアルミホイルを乗せて固定します。蓋はしないで下に置き、ディスクマシンを回転させた状態でスポットライトを当てれば、回るメラを出すことができます。アルミをクシャッとさせるとより反射が出ます。

今回はアルミホイルを忘れてしまったため、ラッピングペーパーのグリッドを切って使用しました。

Windows

CCTというプロファイルスポットを使用して、こんなの作ってみました。Windowsです。右側の黄色と緑が逆でしたが。

ソースフォーやリクリなどと違ってゴボネタを入れることはできませんが、羽を切って当て方を調整すればこういった使い方もできます。

また、色を何も入れないで生にすれば、窓っぽくもなります。また、窓から差し込む光や建物と建物の間から差し込む光の表現にも使えそうです。

ホリ出物百景まとめ

こういったホリへの出物は、バレエや演歌のコンサート、カラオケ大会、新舞踊、ダンスなどで多く取り入れられています。
ホリゾント幕を使うことの多い高校演劇や劇団のホール公演などでも、こうした効果を取り入れてみてはいかがでしょうか。

トークセッション

トークセッションでは、参加者の皆様からいただいた、「照明のことで日頃考えていること、疑問に思っていること、経験したトラブル、苦労話」をスライドにまとめ、まずくらげが回答に対して考えたことを発表し、他の意見を電気マグロ氏や参加者の皆さまからご意見いただくという形で進行しました。

ここでは、トークセッションに使用したパワポ資料を載せておきます。

締めくくり

今回の照明お話し会では、参加者をはじめ多くの方にご協力いただきました。
本当にありがとうございました。この場を借りてお礼を申し上げます。

照明お話し会の第二回開催は未定です。

最後に、今回の仕込み図を載せておきますので、ご参照ください。(クリックかタップで拡大)

下記からダウンロードも可能です。

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