舞台照明技術者会議に撮影者として参加してみた

日本照明家協会では、技術委員会主催による「全国舞台照明技術者会議」が毎年開催されています。

毎回、開催場所とテーマを変えていて、今年は2/1213に「照明の未来に向けて〜2020の先へ」と題し、協会の運営事務局がある芸能花伝舎で開催されました。
開催内容の詳細は以下の通り。

【知識編】 専門セミナー
2月12日(水)
13時~14時30分
Vectorworksセミナー「Vectorworks2020の新機能」
講師: エーアンドエー株式会社 マーケティング推進部
プロダクトマーケティング課 課長 佐藤 和孝 氏
15時~16時30分
シミズオクトセミナー「コンサート業界のトラス」
講師:株式会社シミズオクト 生産本部 技術部 次長 松延 弘記 氏

17時~18時30分
「ホール・劇場管理者の集い」意見交換会
進行: 株式会社パシフィックアートセンター 深井 一彦 氏

2月13日(木)
10時30分~12時 
「CHAMSYS」 PRG株式会社
「Eos/ Augment3d 」 株式会社剣プロダクションサービス
「kuwatec PrefLight」 有限会社ゴング・インターナショナル

12時30分~14時 「大賞受賞作品はこうして創られた!」 
(株)クリエイティブ・アート・スィンク 田中 和夫
技術委員長 林 之弘

【技術編】 体育館で仮設やってみよう

限られた空間で照明演出効果を生み出す~ダンス公演の場合~
デザイナー 清水 淳 氏 ライティングビッグワン(株)
デザイナー 八木 優和 氏 (株)宝塚舞台
実演協力 東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校 ダンス&アクターズ科の皆さん

12日(水) 
10:00~12:00搬入、舞台設営、仕込み
13:00~16:00 仕込み
16:00~20:00 フォーカス、あかりづくり
(全日見学可)

13日(水) 
10:00~13:00 リハーサル(非公開)
14:30~16:10  実演、実演後プランナーから話を聞く、機材説明
16:30~19:00 撤去 (見学可)

くらげは毎年参加者として参加していましたが、今年はWeb作業部会のYouTube用動画撮影部隊として参加することになりました。

ということで、撮影者として密着した感想をご紹介します。

体育館で仮設やってみよう

内容の詳細

芸能花伝舎は、区立淀橋第三小学校の校舎を改築し、教室や体育館をそのまま活かす形で文化活動拠点として使用されています。そのため、体育館はよくある小学校の体育館の状態で残されています。
今回、仮設の講義をするにあたり、この体育館が使われることになりました。

通常の劇場とは違い、電源容量が少ないため電源車を三穂電機株式会社にご協力いただいています。
また、設備は非常に乏しい状態で、機材の吊り込みに耐えうるバトンは2本のうち1本しかないため1本は天井部で補強し固定をしています。
昇降できるバトンは1本のみ。昇降装置はウィンチです。

奥のバトンには大黒幕を機材と共吊りします。床にはリノリウムを敷きます。袖幕としてベージュの薄い生地の幕がありますが、こちらは使いません。
セットは高さの違うトラスを縦置きで舞台奥に5本置きます。

機材は電源容量を少しでも抑えるために、すべてLED機材を使用しています。

機材の内訳は以下の通り。

  • MAC AURA×19 (床置きとサスバトンに吊り込み)
  • MAC Quantum Profile×4 (フロント・サイドライトとしてギャラリーに設置)
  • MAC ELP CL×12 (SS、舞台袖ギャラリーから照射、バトンからネタ出し)
  • GLP KNV Dot×40 (トラスに設置、フットライト)

プログラムの内容は、東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校の皆さんが出演するダンス公演です。プログラムAとプログラムBに分かれており、プログラムAのライティングデザインを東宝舞台の八木優和氏、プログラムBをライティングビッグワンの清水淳氏が手掛けます。
コンソールは八木氏がGrand MA2 light、清水氏がNano Hogを使用します。

張り付いて見ていた感想

清水氏は一人で打ち込みまで、八木氏はプログラムとオペレートはオペレーターを付けています。
お二方の明かりを見ていて、それぞれ明かりのつくり方が対象的なのが印象的でした。八木氏は演劇やミュージカルなどを中心に活躍されていることもあって、明かりの雰囲気がとても演劇的な美しい明かりに感じました。

一方で、清水氏のつくる明かりは、大胆にムービングでゴボネタを出したり、曲に合わせてストロボを入れているあたりがライブやコンサート的な明かりを全面に押し出しているという印象でした。

使っている機材はすべてLEDでしたが、LEDでも最近では肌の色をきれいに見せる色味が入っていて、LEDだけでもどぎつい感じがしませんでした。

内容についてはYouTube動画をご覧ください。iPhone XRを主に使用しているため、全体的に赤みが強い明かりになっています。実際はもっと肌の色や衣装の映える明かりです。

体育館で仮設をやってみよう(仕込~あかりづくり) ※音が大きめです。

体育館で仮設をやってみよう(リハーサル〜本番~撤収)

この技術編セミナーの対象が学生や初心者向けにも関わらず、説明がどうにも中途半端に感じました。

学生や初心者には「体育館でこんなことできるんだすごーい」という印象を与えることができたかも知れませんが、機材やネットワークについてただひたすら説明だけされても、ちんぷんかんぷんな方が多かったのではないでしょうか。

あの辺りは、どちらかというとプロ向けの説明だったように感じます。

それに、サブタイトルである「2020のその先へ」はどこへ行ってしまったのでしょうか。
どこか全体のテーマや技術協力者とのコンセンサスが取れていないままあやふやな状態で始まり、そのまま終わってしまったという印象を受けました。

ホール・劇場管理者の集い


今回、セミナーは「ホール・劇場管理者の集い」のみ参加しました。

このホール・劇場管理者の集いはその名の通り、ホール・劇場管理者たちが集まって問題を提議したり話し合う場として設定されました。
参加者はくらげを含めて10名。うち、数名は壁際に置かれた椅子に座り、オブザーバーとしての参加です。

司会進行は株式会社パシフィックアートセンターの深井氏。ざっくりとしたテーマの元で話を進めていきます。
開始早々、くらげの後ろに座った方が声を上げました。司会の進行に対する、重箱の隅をつつくような指摘だったのですが、それから何度も話に入り込んでは持論を繰り広げ、果ては話を脱線させることもするため、終始ハンドルを握られてしまったような状態になりました。

話の内容は、ホール・劇場管理の方がパッチもしないでマニュアルを渡しておしまいというホール・劇場があるのだが、そういう対応はどうなんだろうといった内容だったのですが、「あそこではこうだ、地方ではこういう状況だ、昔はこうだったけど今はどうだ」といった内容で進んでいて、正直なところ今いるこの場で進めていく話題としてはどうなんだろうかと疑問を感じました。

くらげとしては、昔はどうだった、他所ではどうだった、他所ではこうなっている。そんなことは今はどうでもいいことで、今ここにいる人たちと、今ここにいる人たちが働いている場所の、今現在の話を聞いて意見を交換したいのです。

また、その場に国内舞台照明メーカーの営業担当が同席していたため、そのメーカーの製品についてのクレームや意見などが出ており、その話についても10分くらい延々と続いていたように感じます。

劇場管理者としてはせっかくの機会なのかも知れませんが、今ここでする話としては適してないように思いました。そういったクレームはあとで個別にしてほしいのです。せめて、そこで司会者がキリのいいところで話を遮って先へ進めてほしかったです。

最初のうちは、司会者に話を振られたら話をしようと思っていましたが、声の大きい人たちが好き勝手に話が展開していってしまい、一言も話すことができないまま終わってしまうと感じたので、話を遮る形で手を挙げて、自分の考えを述べることにしました。

最近感じていたハラスメント問題についても取り上げたのですが、結果として自分の話の持っていき方があまりにも下手すぎて思うように伝えられず、モヤモヤとした思いが残りました。

こういった話し合いの場にはファシリテーターが重要な役割を果たします。この場では、司会者がファシリテーターとして機能しなくてはなりません。

しかし、話がテーマからどんどん逸れていったときに軌道修正しなかったため、一人のオブザーバーがそのまま話を続けていってしまいます。こういうときは、話を遮る必要があるのです。

また、話が終始「この場にいない人たちのホールや劇場であった話」で進行してしまったので、せめて「こういう話が出ていますが、あなたの劇場ではどういった対応をしていますか?」という質問を挟めば、この場にいる人たちの話に持っていけたのではないかと思います。

今回、一言も声を発しなかった参加者が2名いました。この方たちは、もしかしたら話を振れば発言できたかも知れません。
または、発言できる機会を伺っていたのかも知れません。そういう機会が一度もないまま終わってしまったことが非常に残念です。

もし第2回が開催されるようであれば、せめて有意義な意見交換ができるように改善していただきたいと思います。

締めくくり

今回はほぼ技術編の方にべったり付いていたのですが、裏方の裏方として密着したところ、いろいろと見えてくることがありました。

まずは運営側の人手不足。技術委員会の委員長が一人で運営から制作までをこなしていたのが印象的でした。
今まで外野からやいのやいの言っていただけでは見えてこなかったことです。今まで、外野でやいのやいの言っていてすみません。

あとは撮影機材が乏しいこと。
全国舞台照明技術者会議と銘打っておきながら、撮影機材がしょぼすぎる。せめて数台のカメラでスイッチングできると思っていたけど、前時代の画像が荒いビデオカメラが3台のみで、スイッチャーはないので多角的な撮影ができません。

くらげの場合は、すべてiPhone XRで撮影していて、一日目は他の人が持っていたマンフロットのミニ三脚にアダプターを付けて手持ちで、2日目はDJIのOsmo Mobile2というジンバルを使用しています。
画像は他のビデオカメラに比べて非常に画質の性能が高いという結果に。

集客のためにも、まずはきれいな画像でライブ配信するなどして興味を持ってもらえるような仕組みを作っていかないと、このさき集客率もどんどん先細りしそうな予感がしています。

とは言っても、撮影機材に予算が付かないことは火を見るより明らか。ひとまずはiPhoneでもいいので、伝わる映像を撮ろうと思いました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください