もっとバレエを知りたい!テクニカルスタッフのためのバレエ語解説

バレエはルネサンス期のイタリアで生まれてフランスで発展し、ロシアで開花しました。バレエ語のほとんどは、フランスで発展した際に生まれたものばかりです。

聞き慣れない発音のバレエ語ばかりに最初は戸惑うかも知れませんが、バレエ語を知っておくだけで、ぐっとバレエの理解が深まります。
ここでは、多くあるバレエ語の中で、特にテクニカルスタッフにとってバレエの理解に役立つものを抜粋してご紹介してきます。

バレエ語【ポーズ・動き編】

アダージオ(アダジオ)

イタリア語で「ゆっくりとした」という意味です。音楽用語としてはゆるやかな速度で」という意味で使われています。バレエ用語としては2つ意味があり、一つは練習の一種で跳躍を含まない動きで構成され、ダンサーの足を空中に保つ力、バランスを保つ力、優雅な重心の移動を養うために行われます。もう一つの意味として女性が男性に支えられて踊る動きを含む、ゆったりとしたテンポの踊りのことをいい、男性のサポートなしではできない多くの動きを含みます。グラン・パ・ド・ドゥの中で男女で踊るゆったりとしたテンポの踊りとして使われています。
踊りのこと)
に使われています。

アラベスク

アラベスクは、「アラビア風の」「唐草模様」の意です。アラベスクの出てこない演目はないほど、代表的なポーズの一つです。この言葉がダンス・クラシックの典型的なポーズの名前になった理由やその時期については諸説あります。
アラベスクにはさまざまな形がありますが、基本概念としては片足で立ち、もう片方の足は身体の後方に真っすぐ伸ばしたポーズです。

アレグロ

イタリア語で「快活な」という意味です。音楽用語としては「急速なテンポ」という意味で使われます。バレエ用語としては跳ぶステップ(パ)を多用した一連の踊りのことを言います。この動きはアレグロ・モデラートの音楽で行われることが多いので、アレグロと呼ばれるようになりました。

コール・ド・バレエ

コールはフランス語で集合、団体の意。群舞、あるいはそれを踊るダンサーを指す。「コールド」と略して使われます。

ソテ

ソテは「跳ぶ」という意味です。

フランス語で「歩み」という意味です。バレエでは「ステップ」や「踊り」を指す言葉として用いられます。たとえば、「パ・ド・シャ」は「猫の動きに似た」ステップ(パ)を意味します。また、踊りの種類としても用いられることがあります。

バレエ・ブラン

「白いバレエ」の意。ジゼル、バヤデール(幻想の場)、白鳥の湖など古典バレエのうち、白い衣装での群舞するシーンまた作品のことを指します。

ピクチャーコール(タブロー)

幕ものなのでその最後(曲切れ)で全体暗転(C.O)のあとに、すぐ明かりを戻すことをいいます。その後は、そのままライトカーテン(L.C)や再び暗転(B.0)など演出によって異なります。オペラではタブローといい、絵のように情景をつくるイメージで行われる演出で、バレエではピクチャーコールと呼ぶこともあります。

ピルエット

ピルエットは「旋回」という意味で、さまざまなポーズで旋回しますが、基本概念としては両足で踏み切って、片足のつま先(ポアント)か足指の腹(ドュミ・ポアント)で立って回るステップ(パ)です。

プリンシパル

主役を踊る、一番上の階級のダンサー。女性ダンサーにはプリマが用いられることもあります。最近は男女平等にプリンシパルを使うことが多いです。

プリエ

プリエは折りたたむという意味です。バーレッスンで最初にプリエを行うことからわかるように、プリエはバレエを踊る上で重要な動きです。膝を軽く曲げる動きをドゥミ・プリエ、深く曲げる動きをグラン・プリエといいます。

プレパレーション

踊り始める前のスタンバイのポーズ。クラシックバレエでは、登場からプレパレーションも踊りの一部としてみなすことが多い。そのため、作品ごとに暗転を挟むシチュエーションでも明かりが入ってから板付き、音が入るという流れになる場合が多くあります。

フェッテ

鞭で打たれたという意。軸足の反対側の足で打ち叩くような動きをしながら回転する動きのことを言います。何かと小技を入れて競うダンサーも多いのですが、シンプルな動きですが、正確な回転が一番美しかったりします。グラン・パ・ド・ドゥのコーダで女性がテクニックを見せるために振り付けに含まれていることが多いです。

ポワント

つま先で立つことを指す言葉です。また、トゥ・シューズそのものをポワントと呼ぶこともあります。

マイム

バレエには台詞がないため、時々「マイム」と呼ばれる台詞代わりのジェスチャーが入ります。たとえば、頭上で両手をくるくる回す動きは「踊りましょう」を意味し、手の甲に頬を当てて反対側の頬までなぞる動きは「美しい」の意味、指を2本立てて頭上に掲げて反対側の手を心臓に当てるポーズは「誓います」を意味します。また、右手人差し指と中指をくっつけ、左手の薬指に重ねるポーズは、結婚することを意味します。

マネージュ

マネージュは「馬場」「メリーゴーランド」の意味で、舞台の上を円を描きながら一周することを言います。女性ソロ(ヴァリエーション)の最後に登場する、同じパの組み合わせを繰り返して一周する動きのことを言います。円のような軌道を描く動きは、一周しなくても「マネージ」または「マネージュ」と言います。

リフト

男女二人の踊り(パ・ド・ドゥ)で男性が女性を持ち上げて行うポーズの総称です。リフトには、男性の肩に女性が腰掛けるもの、男性が両手で女性の身体を刺させて持ち上げるもの、男性が片手で女性を持ち上げるものなど、多くの種類があります。

そのときPinはどうする?
  • 2本重ねて男女2人とも入れる(重なった分、明るくなるので2本ともゲージを落とすか男性Pinがゲージを落とす)。
  • 2本重ねて、2本ともリフトされた女性へいく。
  • 女性Pinはそのまま、男性Pinは大きくして2人とも入れる。

などがあります。どれを選ぶかは会社やプランナー、センターチーフの好みや経験だったり、劇場の条件などで変わってきます。

レベランス

「おじぎ」の意。ソリスト級の踊りでは、ストーリーの途中であってもほとんどの場合は踊りを終えるとレベランスが入ります。バレエコンサートなどでも、指定のない限りはほとんどレベランスが入ります。

構成

アントレ

踊り手が舞台上に登場すること、またはそうした踊り(曲)のことをいいます。

ヴァリエーション

ソロの踊りを指す言葉です。男女二人の踊り(グラン・パ・ド・ドゥ)の一部で、男女が組んで踊るパート(アダージオ)のあとに男性ヴァリエーション、続いて女性ヴァリエーションが踊られる構成になっています。進行表などでは"VA"と表記されます。発表会などではソロでなくとも”VA”と呼ぶことがありますが、その場合は「○○の”踊り”」という意味で使われています。

ガラ

フランス語で特別行事の意。様々なダンサーが登場し、パ・ド・ドゥや小品を披露するコンサート形式の公演形態を指します。

キャラクター・ダンス

スペインやポーランド、ハンガリーなどの民族舞踊の要素を盛り込んだ踊りのことを言います。ポワントやバレエ・シューズではなく、少しかかとの高いキャラクター・シューズを履いて踊ることもあります。たとえば、ポーランドの踊り『マズルカ』やハンガリーの踊り『チャルダッシュ』は、『白鳥の湖』『コッペリア」『ライモンダ』などで見られます。また、演技の要素が強い役柄の王様や王妃、道化、悪魔など)の踊りをキャラクター・ダンスと呼ぶこともあります。海外のカンパニーではキャラクターを専門とするダンサーもいますが、日本ではそこまで明確に区分していないことが多いです。

グラン・パ

男女二人の踊り(グラン・パ・ド・ドゥ)よりも大規模な形式で、主役二人の踊りの間にソリストや群舞(コール・ド・バレエ)の踊りも加わる構成を言います。上記の意味で用いる場合、「グラン・パ・○○○」という具合になります。例えば「グラン・パ・エスパニョール」「グラン・パ・クラシック」などがあります。

グラン・パ・ド・ドゥ

パ・ド・ドゥとグラン・パ・ド・ドゥは同じ男女二人の踊りという意味がありますが、グラン・パ・ド・ドゥには決まった形式があります。(パ・ド・ドゥという言葉自体は、2人で踊るもの 、という意味なので、男女の組み合わせ以外の物にも使う場合があります)
入場(アントレ)→男女二人でゆったりと踊るアダージオ→男性1人で踊るヴァリエーション→女性1人で踊るヴァリエーション→再び男女が一緒に踊るコーダという5つのパートで構成されています。コーダでは跳躍や回転など大技が登場するのが見どころです。
日本では入場を抜いた4つの構成でグラン・パ・ド・ドゥということが多くあります。また発表会などではGPDDのうち、アダジオのみ又はアダジオ+コーダなど、2人で踊る部分を抜粋して踊る場合に「グラン」を抜いてパ・ド・ドゥと呼ぶこともあります。進行表などでは「GPDD」や「GPD」と表記することもあり、単純にGPDDの略称として「グラン・パ」と呼ぶこともあります

デフィレ

フランス語で「行進」という意味です。バレエ団のシーズン開幕や閉幕、または引退公演などで行われる恒例行事です。舞台奥から階級順に団員たちが客席に向かって進み出て、最後にお辞儀(レヴェランス)をします。こういう内容の曲をデフィレといいます。発表会などでは、階級というよりはクラスで分かれているかもしれません。いわゆる「ご挨拶」の曲、またはパートの事です。

ディベルティスマン

楽しませることを目的とした踊りのことで、ストーリーの本筋とは関係ないもの。例えば、コッペリア3幕の夜明け、仕事、祈り、くるみ割り人形のお菓子の国など。

ジャンル

クラシック・バレエ

19世紀後半、フランスからロシアに渡ったマリウス・プティパが生み出した、高度な様式美を備えたダンス様式を指します。

コンテンポラリー・ダンス

コンテンポラリーとは、「現代的な」「同時代の」という意味です。しかし、流行しているわけではなく、ダンスを意味しているバレエを含めたダンスのジャンルを超えた、最先端の感覚でつくられているダンスを指しますそのため、規定の型や動きなど決まりごとにとらわれることない振り付けが行われます。「コンテ」と省略して呼ぶこともあります。

ドラマティック・バレエ

演劇的な要素が多い作品で、特に20世紀に入ってから振り付けられた作品をそう呼びます。代表的な作品に『ロミオとジュリエット』『マノン」『オネーギン』「椿姫』などがあります。ドラマティック・バレエの特徴として、バレエ化の前に原作があったことと、登場人物に明確な性格があり、心情に基づいた振り付けがなされています。

その他に覚えておくといいこと

流派や国、カンパニーによって用語や作品名の呼び方が違うことが多くあります。一例を挙げると、バヤデルカとバヤデール、ソッテとタンルベ、シュスとルルベフィフスetc...これらは言葉は違っても同じ内容を指しています。

また、古典作品は振り付けに多くのパターンがあります。同じ作品でも登場人物や結末が違っていて、作品名に振付家の名前を冠して、ヌレエフ版、プティパ版、ブルノンブル版などというように「○○版」と呼んでいます。発表会では、元のバージョンをベースにしながら、生徒に合わせてアレンジしていることが多いです。

日本のバレエ発表会とテクニカルスタッフの付き合い方

「発表会」は日本の独特な文化です。

先生方は多くの場合、いかに生徒たち及び親御さんに楽しんで貰えるか、日頃のレッスンの成果を見せる場を平等に提供出来るか、などに心を砕いています。もちろん、プロになることを目標に厳しく取り組んでいるという方もいますし、そういう目標を持つのがスタンダードなお教室、クラスも多々ありますが、日本の発表会で見かける世界では、 趣味として取り組んでいるバレリーナたちの方が多いのが現状です。そのため、発表会では、生徒に合わせた改変(振り付けそのものだったり、曲順、役柄に対する人数の調整などの)たくさん行われます

また、そうした場合、従来のやり方同様に対応しかねることが起きたり、疑問が生まれたりします。そして、先生方も、本来どうあるべきか、把握しているとは限りません。特に最近はバレエ団経験などのない先生も多いです。我々が常式だと思っていること自体が通用しない事も多くなってきました。いわゆる「正しい」のが何か、ご存知ないこともあります。そして、我々が思う「正解」が正解だとは限りません。

会主である先生がどうしたいか、振り付け・演出の先生が、何を大切にしようとしているのか、理解して寄り添う(時にはそっと導いたりしつつ…)仕事が出来るよう、向き合っていけるのが理想だなと思います。

参考文献

富永明子(2018) 『バレエにまつわる言葉をイラストと豆知識で踊りながら読み解く バレエ語辞典』 誠文堂新光社
川路明(1980) 『新版 バレエ用語辞典』 東京堂出版

乗越たかお(2010) 『ダンス・バイブル コンテンポラリー・ダンス誕生の秘密を探る』 河出書房新社 

柴崎政夫(平成14年) 『バレエ上達へのヒント PRAT2.』 株式会社分園社

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