舞台スタッフを目指す学生と若手のためのZoomお話し会(前編)

今回のZoomお話し会は、舞台スタッフの新人さんと目指している学生さんを対象に行われました。

新人さんじゃない方のご参加を視聴のみにしたのは、新人さんや学生さんがベテランを前に萎縮してしまうことと、ベテランの人が説教を始めたり従来の価値観で持論を繰り広げてしまうのを防いで自由な発想で議論する場にしたかったからです。

では、さっそくZoomお話し会を始めます。

今回の参加者

そらいろくらげ @kurage_suzuki
高校演劇部で照明に目覚める。東放専門学校照明クリエイティブ課を卒業後、巡業劇団や照明会社勤務、フリーランスを経験したのち、今は再び会社所属でホール管理をしている。
kitamura @lighting0427
舞台技術を教えている大学で照明を学んでいる。実際に照明の現場などにも行っている。
K君
大学で音響を学び、今はフリーランスと言う立場で音響会社に所属する。現在2年目。
アン
音楽大学で照明や舞台監督について学んでいる。
sato @butaiya_urakata
大学で光学を学びながら、舞台屋という舞台スタッフサークルで舞台スタッフをやっている。
野村陸人 @nomu_engeki
中央大学文学部日本史学専攻。中学高校で演劇部に所属。高校在学中は自校のホール設備で機材の管理や学校行事の舞台スタッフを行う。音楽、演劇を中心に、照明だけでなく役者や作曲など幅広く活動。劇団Cheminée所属。
みいしゃ @mishaaaaaa280
舞台照明スタッフ。北陸の会社で2年働いたあとに東京の会社に移籍。現在3年目。

視聴者として参加の、新人じゃない皆さん。

舞台スタッフになろうと思ったきっかけ

くらげ:みなさん、どんなことがきっかけで舞台スタッフを目指そうと思ったのか教えて下さい。

野村:野村:僕は中学のときに数少ない文化部の中から消去法で演劇部を選択したことがきっかけで中高6年間は演劇部に所属していました。中学時代は役者をメインで、高校に入ってからもしばらくはそうだったんですけど、高校1年の冬に「高校生裏方ワークショップ」というのに参加したのがきっかけで照明の沼にハマりました。

あとは、高校3年間で学校設備の講堂の機材を使える人間として学校行事の際にスタッフを頼まれたりとか、部活の公演で照明をやっていく中で、役者メインのところから照明メインに変わって言った感じですかね。

sato:小学生くらいのときにクラウン、つまりピエロでジャグリングやパントマイムなどをやっていたので舞台に立つ側の人間だったんですけど、そこから機材に興味を持ち始めました。
近くのホールでピンスポットを触らせてもらえたりしたので、照明をやりたくて専門学校に行こうか悩んだのですが、カメラやレンズも好きだったので光学から勉強できたらおもしろいなと思って画像処理工学の専門の大学に行きました。そこで機材を借りてライブを作ったりする舞台屋という裏方サークルに入って活動しています。

みいしゃ:職業にしたのは、今考えてみるとなんとなくだったなと思います。演劇部に入ったのは野村さんと一緒で消去法だったんですけど、舞台に立つよりも裏方のほうがいいなと思ったので照明をやることが多かったです。
やっていくうちに演劇よりも照明を触っている方のが好きだなと感じていて、観ているときも照明に凝っている作品だとか、演劇に限らずコンサートも曲自体よりも照明を観ている方が楽しいなと感じていました。学校は専門学校じゃなくて普通の四大に行ったんですけど、やりたいことがなくて一番楽しめる仕事が照明だと思ったので、この業界に就職することにしました。

K君:僕は親が人形劇団を運営していたので、小さい頃からプレイヤーとして人形劇をやっていました。小学生か中学生の頃に照明と音響機材を入れ替えようということになったんですが、照明卓も音響卓もピカピカしていてかっこよかったので、そこで音響にドハマリして高校で演劇部に入って音響をやったり、大学も舞台スタッフの専門コースがある学校に進みました。そうやってズルズルと音響やらせてもらっています。

アン:小学三年生の頃にコンサート照明を観ていて、LEDのムービングが増えてきた時期だと思うんですけど、その光の演出に圧倒されたのがきっかけでした。最初がコンサートだったので、音楽環境やショーの照明をやりたいなと思って音大に進みました。

kitamura:僕は中高で吹奏楽部にいたんですよ。中学校のメンバー5人でバンドをやってみようとなって、ライブハウスでライブをやっていました。そこでバンド演奏をやっていたときに照明を見て、かっこいいなと思いました。
高校を経て大学へ進学したときに好きなことを仕事にできたらいいなと思って、楽器のプロになることも考えたんですけど、いつか飽きたりするなと思っていました。そこで自分の好きなことはなんやろなと考えたときに音楽も好きやったのと、パソコンとかの機械チックなことも好きやったので融合したときに思い浮かんだのが照明でした。吹奏楽部だったので他の吹奏楽部の演奏を観に行くこともあったんですけど、照明演出に凝っている学校の演奏を観てすごくやりたいと思ったのがきっかけです。

どんな舞台スタッフになりたい?

くらげ:皆さんは将来どんなスタッフになりたいですか?

sato:僕は最初は舞台スタッフになりたかったんですけど、機材の開発に進みたいと思っています。例えば LED の色の表現ですね。最近は配信が増えてきましたがモニターに出る色が全然きれいじゃないですよね。配信の照明でやりたいことをやるには今のモニターでは全然性能が足りないので、そこの開発とかやりたいです。あとは、 LED はまだまだパー缶(パーライト)に負けてるってよく言われるので、そういうところを改善できるような機材開発をやりたいですね。
もちろんライブ照明もやりたいんですけど、それよりはそういう機材の開発の方に行きたいなって思っています。ちょうど今は大学3年なのでそういうことを考える時期になってきてますね。

みいしゃ:私は演劇部が入り口ではあったんですけど、コンサートメインの会社に就職したので自ずとコンサート照明の方に進みますし、今はどちらかと言うとコンサートの照明がしたいなと思っています。今やりたいと思っているのが、コンサートのピンスポットで色(カラーフィルター)を2,3枚持って曲に合わせてパッパと変えるというのを先輩の横で見ていて、かっこよかったので、もし仕事が回ってきたらがんばりたいです。

アン:私もコンサート系を中心にやりたいと思っています。できればドームでオペレーターをやったり、アーティストの専属オペレーターとしてツアーで回りたいという大きな夢を持っています。今はまだ1年生なので4年後に就職なんですけど、どうやったらその道に行けるのかまだわかっていないので、今からできる限りプロの経験者の大人たちにたくさん出会って勉強したいと思っています。

kitamura:僕もドーム規模のコンサートなどをやりたいと思っています。卒業後は、ドーム規模や大きい現場でお仕事をやっている会社に入り数年後、有名になってドームなどでライブをしているアーティストの専属照明さんになりたいという目標があります

K君:僕は将来、海外から入ってくるメガミュージカルと呼ばれる作品の初演のオペレーターなりプランナーになりたいです。僕がミュージカルや芝居をやっているのは、アーティストでいたいからなんです。フェーダー1本で勝負したいっていうのがあって。それが、何かの音を拡張する「PA=Public Address」ではなくて、サウンドエンジニアであったり、デザイナーというポジションに行きたいと思ってやっているので、将来はそっちに進みたいと思っています。

野村:僕はまだ経験も浅くて、プロになるみたいなビジョンはまだないんですけど、自分は今いる演劇の世界でやっていきたいという気持ちがあります。あまり外の世界を知らないからなのかもしれないんですけど、小劇場系のようなミニマムなことをしていきたいと思っています。

心配なことや不安なこと

くらげ:学生のみなさんがプロを目指す上で心配なことや不安なことはありますか?新人さんは経験上の不安とかあればお願いします。

K君:日本の演劇業界で現在上にいる方は、サウンドエンジニアとかがいないので20代の頃から現場に出ていたり、自分がチーフだったという人がずっと上の方にいるんですね。その人たちが上の方で牛耳り続けて何十年という世界なので、「俺が若い頃はチーフでバリバリやってきたのに、お前はそんなこともできないのか!」と言われるんですけど、「じゃあ、俺らにもチーフのチャンスをくれよ」って思うんですよね。
この先、上の人たちが抜けると、その下には中堅層がいるので、結局60代にならないと目指すところにはいけないのかなって思いますね。どうしても年功序列は感じますが、実際のところ他の会社はどうなのかなって思います。

くらげ:どこもそうだと思います。

K君:そうなんですね。

くらげ:上の方に詰まっている感じ。で、3、40代になるとみんなフリーになっちゃうのでごっそり中間が抜けていますね。で、上の人たちは従来の価値観のままなので、いつまで経っても状況は変わらないという負のループですね。

K君:そうですね。

くらげ:他にどなたかいますか?学生さんで聞こえてくる話でじっさいどうなんだろうと感じることはありますか?

野村:僕はプロになる上でというより、今後照明を続けていく上でなんですけど、僕のいる大学が一般の大学なのでプロになるのは難しいのかなって思っています。プロにならないんだったら卒業後はどういう形で舞台照明に携われるのかなっていう不安はあります。自分ができるのが小劇場なのかなって思いますけど、それでも業界全体的にプロの方が席巻しているイメージがありますので、アマチュアでやっていくイメージが掴めないですね。

くらげ:じゃあ、ちょうど今ここに視聴者で参加されているいけちーさんがアマチュアなので、話を聞いてみましょうか。ではまず自己紹介から。

いけちー:本業はサラリーマンをやっています。趣味として照明をやっているんですが、劇団に所属して照明をやっています。劇団以外でもアルバイトとしてちょこちょこと照明の仕事をやっています。

くらげ:プロのいる中で、アマチュアとしてどうやって入り込んでいっていますか?

いけちー:自分は大規模な現場に行っていないので実はそんなに気にしていないですね。1人日か2人で回す現場だとプロかどうかは関係なくてどちらかと言うと人のつながりで仕事をもらうことが多いですね。劇場でも大きなところでは基本的にプロ以外は機材を触らないでと言われますけど、「僕はプロじゃないけど知識と経験はあります」と言うと、触らせてもらえる劇場もあるので、プロじゃなくて困ったという経験はないですね。

野村:現場の仕事はどういうルートでいただいていますか?

いけちー:最近は減ってきているんですけど、人のコネが多いですね。ネット上で応募しているところがあったら、こちらから応募したりすることもあります。

野村:わかりました。ありがとうございます。

くらげ:続いてどなたかいらっしゃいますか?

アン:下世話な話ではあるんですけど、すごく給料が安くてやりがい搾取されているという話を聞いたり書かれているものを見たりするんですけど、正直なところ生活に余裕が持てるのかなっていうのが少し不安です。

くらげ:うーん、正直なところおっしゃる通りで新人さんで普通に生活していくには厳しいかなっていうところがありますね。そのあたり、現役のみいしゃさんやK君はいかがですか?

K君:いや、厳しいですね。食べるのに困っている状態ではないんですけど、どこか思い切って旅行に行こうというのはできないですし、豪遊してご飯を食べることもできないですね。本当に給料日前はお金がないので、先輩に「今日お金がないからご飯連れて行ってくださいよ」って言っておごってもらうようなときもありましたね。

今はコロナで落ち着いていて、お金を使うところが少ないっていうのと、給料が一気に下がったのでその分を補填してくれる給付金があったのと、フリーランスなので税金を自分で支払わないといけないんですけど、それも国が補助をしてくれているのでなんとかなっている感じですね。ただ怖いのはそれが切れたときに、仕事もなくて給料も入らないのに税金が待っているということですね。
それと、大学時代は奨学金を借りて入っているのでその返済もあるので、本当にキリキリ舞いで生きています。でも、その分やりがいはあるんですよね。

アン:たしかにやりがいはありそうですね。ありがとうございます。

くらげ:他にどなたかありますか?ないようなら、ちょっと暗い話になっちゃったので話題変えますね。皆さんの中で憧れの音響や照明のプランナー(デザイナー)さん、オペレーターさんはいますか?

憧れの人プランナーやオペレーターはいる?

K君:プランナーやオペレーターではないんですけど、僕は久石譲さんが一番憧れている人ですね。ジブリ作品を観ていて音の重要性というものをすごく感じるので、彼の音楽センスは作曲家としても素晴らしいですし、指揮者としても指揮というのはオペレーティングだと思うのでああいった気持ちのこもった音楽性はすごく勉強になりますね。僕も将来はああいう音を描けたらなと思います。

くらげ:たしかに久石譲さんの劇伴だけじゃない、あの音楽だけで一つの作品として成り立つ音楽性はさすがだなと思います。しかも、それをオケ作品としても聴かせられるというのはすごい才能だなと思います。
続いてどなたかいらっしゃいますか?

kitamura:憧れている人は、サカナクションの専属の照明プランナーの平山さんですね。この方の存在を知ってすごい憧れていて、自分も将来的にそうなりたいと思っています。

今回はここまで。続きは後編をどうぞ。

舞台スタッフを目指す学生と若手のためのZoomお話し会(後編)

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