くらげが登山をするのはほぼ冬の時期で、標高1,000m前後の低山が中心です。初めて登山をしたのが1月で、登りで火照った顔に冷たい風が当たって心地よかったので、それから冬の低山での山登りを始めました。
冬の低山はシーズン中とは違った楽しさがありますが、冬ならではのリスクも伴います。
そこで、この記事では冬の低山の登り方をお伝えいたします。
なんで冬山の低山に登るの?
登る人が少ないので快適に動ける
東京や神奈川、埼玉などの首都圏近郊には1,000m級の低山が充実していて、電車やバスを乗り継いで気軽に登山を楽しむことができます。
ただし気軽に登れる分、シーズン中は非常に賑わいます。どれだけ早い時間に出ても、登山口に向かうバスは超満員。場所によっては増便が出ますが、それだけ多くの人が同じ山を目指しているので、登山道は大渋滞、山頂付近は大混雑です。
冬は登る人が減るため、よほど人気のエリアでなければ、ほぼ座っていくことができます。登山道でも、人が少ないのでゆっくり自分のペースで写真を撮りながら歩くことができます。山頂も、登る山によってはぜんぜん人がいなくて独り占めできてしまいます。
いやーな虫が出ない
夏の低山は飛び回る虫が多く、顔にまとわりついてきます。また、丹沢周辺では暖かい時期になるとヤマビルが出るので、休憩するときでも気を許せません。ヒル忌避剤は必須です。
冬はほとんど虫がいないので、快適に歩けます。丹沢周辺も冬はヒルがいないので、ヒルの心配をすることなく登山ができます。
涼しく快適に登山ができる
暑い時期の低山は地獄です。高山ほど太陽が近くないけど、標高が低い分だけ猛暑です。脱水症状を防ぐために水分を何本も持っていかなくてはなるので、荷物の重量が増えます。日差しも強く、じりじりと焼かれて体力が消耗してしまいます。
冬の時期は登り始めは寒いけど、登っていくうちに身体がポカポカしてきて、ひんやり冷たい空気が頬を冷やしてくれてとても気持ちよく感じます。登っているときは汗をかきますが、脱水症状を起こすほどではありません。持っていく水分は調理分を含めて1リットルあれば十分です。
雪山を体験できる
500m超の高尾山でも、都心で雪が降ったときは数十センチは積雪するほどの雪が降ります。
そんなときは、低山でも雪山を体験することができるので、チェーンスパイクやアイゼンなどを持って登りに行きます。降っていないときとはぜんぜん歩き方などが変わるので、いつか2,000m超の雪山を登るときのトレーニングにもなります。
天気が安定している
冬は西高東低の気圧配置となり、太平洋側は快晴になります。そのため天気が安定していて、雨天の日は月に数日のみ。急に雨雲が湧いてきて降られたなんてこともありません。
ただ、念の為に雨具は装備しています。
熊に遭遇する心配が少ない
基本的に熊は冬になると冬眠します。なので、寒さが厳しくなる12月から2月くらいまでは、シーズン中と比べて熊に遭遇するリスクは低くなります。
ただし、温暖化が進んでいる今、一概に熊が出ないとも限らないので、念の為に熊鈴は着けて歩いています。
冬の低山に最適なウェア
冬の登山の服装の基本はレイヤリング(重ね着)です。低山でも変わりません。
- 汗を吸って逃がすためのベースレイヤー
- 保温するためのミドルレイヤー
- 雨・風・雪を防ぐアウターレイヤー
ベースレイヤー
冬の低山は気温が3℃から10℃程度。歩き始めは寒さで凍えていますが、登っているうちに汗をかいてきます。汗をかいたままにしておくと、服が濡れて冷たくなり体温が奪われていきます。
ベースレイヤーは汗を吸収して拡散する機能を持ったアンダーウェアを着ます。素材は速乾吸収性の高いポリエステルやウール、もしくは両方の特性を兼ね備えた混紡素材です。コットンは肌触りがいいのですが、吸った汗を逃さず保ち続けるので登山には向いていません。
ウールはチクチクするイメージがありますが、メリノウール素材はウール本来の保温性を持っていながら生地がとても滑らかで気持ちのいい肌触りです。洗濯機でもデリケート洗いで洗えます。
ワークマンにもメリノウールのアンダーウェアが販売されていますので、お近くにワークマンプラスがあればぜひ立ち寄ってみてください。
ミドルレイヤー
ミドルレイヤーは保温性の高いフリースを着ます。一口にフリースと言っても、ユニクロやGUのフリースとアウトドアブランドのフリースでは機能性や動きやすさに大きな違いがあります。
アウトドアブランドのフリースは汗をかきやすい脇から体側部分はメッシュになっています。なので、来たまま登っても汗で蒸れることがありません。それ以外の部分はしっかりふわふわ高密度の生地で保温します。
また、動きやすいようにストレッチ素材が使われているのと、耐久性が考慮されています。重ね着も考慮されているので生地は薄手になっており、細身でアウターの中に着てもごわつきません。
くらげが着ているのはパタゴニアのR2。いろいろなところで称賛されているので買ってみたのですが、着てみて納得しました。重ね着しても動きやすいし、温かいし、汗をかいても蒸れません。ただ、寒くなるとすぐに品薄になるのが難点です。
こちらのノースフェイスのマウンテンバーサマイクロジャケットも人気です。やっぱりノースフェイスのフリースは一枚くらい持っておきたい。
アウターレイヤー
アウターレイヤーは雨や雪だけでなく、風を防いで体温が奪われないようにする効果があります。雪山用は低山ではオーバースペックなので必要ありません。
登っていると汗をかくので、蒸れないように透湿浸透性の高いゴアテック製レインウェアを着るのが一般的ですが、ごわつくのが難点です。
最近ではゴアテックと同様な機能を持ちながらストレッチ性を持った快適な素材も出てきてますので、いろいろなメーカーのウェアを試着しながら決めるのがおすすめです。
低山でも防寒小物は欠かせない
休憩中はダウンや化繊のジャケットがあると、凍えながらご飯を食べなくて済みます。
Patagoniaのナノパフジャケットは、薄手で軽くて軽量なのに温かいです。丸めると小さくなるので、スタッフバッグに詰め込んでしまえば持ち運びにも困りません。
首元は冷気が入りやすいので、ネックゲイターがあると安心です。
手も冷気や風で冷えやすいので、防風グローブを装着しましょう。
また、耳もキンキンに冷やされて痛くなります。イヤーマフやニット帽、イヤーフラップ付きキャップで耳を冷やさないようにしましょう。
冬の低山に必要な装備
冬の昼間は非常に短いです。山の中では15時位にはもう薄暗くなります。思ったよりも行程時間がかかったとき、暗い中を下山することになります。万が一に備えて、ヘッドライトを持っておきましょう。登山用ヘッドライトとして評価が高く、比較的安価なのはマイルストーンとペツルです。
バーナーを冷やさないためのバーナーカバー
調理をするとき、冷えているとガスの火力が弱まります。寒い山頂でなかなかお湯が沸かないと悲惨です。ガス缶を冷やさないためにカバーを付けておくと安心です。
雪に備えてチェーンアイゼンとスパッツ
前述のとおり、低山でも雪は積もります。雪が積もった状態で登山靴だけで歩くと、靴底に踏み固められた雪がくっついて取れなくなり、歩けなくなります。また、雪が踏み固められると滑りやすいため、滑落の危険があります。特に北側の斜面は雪が凍って溶けないため、つるつるです。
たとえ低山でも、チェーンスパイクは必須です。
雪の中を歩いていると、いつのまにか靴の中に雪が入って足が濡れてしまいます。寒い山の中で濡れると乾きにくく、そのままにしておくと霜焼けや凍傷になるので非常に危険です。雪が靴に入るのを防ぐためにスパッツを装着しましょう。
冬山低山を登るときの流儀
冬山低山は快適なことが多いのけど、リスクも多く伴います。そのため、リスクを少しでも軽減するための決め事をしています。
朝早く登り早めに下山
冬場の日は非常に短いので、早めの行動が必須です。14時には日が傾き始め、15時を回ると山の中は薄暗い状態。16時を過ぎるとあっという間に暗闇が訪れます。
そのため、8時か9時には登山口に着けるようにスケジュールを組みます。冬の4時台5時台はまだ真っ暗で寒くて起きるのが非常に辛いのですが、安全な登山のためにがんばって起きています。
登山届は確実に提出する
冬は登山する人が少ないため、一度遭難すれば登山者に見つけてもらうことはまず難しいでしょう。そこで、登山届を出しておけば助かる確率が高まります。
近親者に行程を伝えておくことで、予定通りに戻らない場合は捜索願を出してもらうことができます。
万が一に備えてエマージェンシーグッズは持っていく
何かあったときに役に立つのがエマージェンシーグッズです。怪我をしたとき、靴紐が切れたとき、バーナーの火が着かないとき、遭難したときなどのために、低山でも必ず備えておけばリスクを軽減することができます。
- 救急セット
- 着替え
- ツエルト
- ヘッドライトの予備バッテリー
- ファイヤースターターやフリント式ライター
- エマージェンシーシート
- カイロ
- 予備のメガネ
- 紐
締めくくり
冬の低山は装備をきちんと整えておけば、初心者でも比較的登りやすいです。
装備は、アマゾンやスポーツショップなどで安いものから揃えていき、徐々に使いやすいものやしっかりしたものにランクアップしていくと負担も少ないです。
さっそく、今年の冬から低山での登山にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。どうぞご安全に。
コメントを残す