2022年1月から2月にかけて、横須賀に位置する無人島・猿島の夜を舞台に、島の記憶や音を想起させる様々な作品が展示される芸術祭「Sense Island -感覚の島- 暗闇の美術島」が開催されています。
猿島は三笠桟橋からフェリーで10分ほどの場所に位置しています。一周歩いて40分程度で回れるほど小さな島で、明治時代からの砲台跡などの遺跡めぐりや自然散策、レジャーで人気のスポットです。
Sense Islandは、普段は夜に立ち入ることのできない猿島を舞台に、限られた情報を頼りに島内を周るという非日常的な体験を味わうことができます。
今回くらげは2月上旬に行ってきたので、体験レポートをお伝えいたします。
Sense Islandってどんなもの?
開催期間は、期間中の金曜・土曜・日曜、祝日および2月10日(木)の22日間。16時〜19時までに出港する4便のフェリーを予約して上陸します。
「テクノロジーや時間の概念を取り払い、猿島にある自然の文脈を感じ自分自身と向き合うような作品や体験を通して、元々私たちが持っていたであろう"感覚"をもう一度取り戻す」というのがテーマとなっていて、島内では渡された封筒に携帯電話を封印。懐中電灯の明かりを頼りに、島内の暗闇のなかで自分の感覚を研ぎ澄ませて猿島の自然と作品に対峙します。
三笠桟橋でフェリーを待つよ
三笠公園の駐輪場にカブを停めて、フェリーの出港を待ちます。くらげが乗るのは16時50分の便です。
あの海の向こうに見えているのが、これから渡る猿島です。
三笠公園には戦艦三笠が鎮座しています。艦内を見学できますが、終了が16時30分なので見れませんでした。
猿島に渡るよ
三笠桟橋にある受付で予めスマフォで購入したチケットを見せてチェックインを済ませ、時間になったらフェリーに乗船します。
こちらが、乗るフェリーです。
時間通りに出港します。
ちょうど夕暮れ時の時間帯で、建物の間から差し込む夕日で海がオレンジ色に染まっています。
スマフォを封印するよ
猿島まで航海を楽しんでいるうちに、10分ほどであっという間に到着。下船後は、まず管理棟に向かい、順番に整列して説明を受けます。説明を受けたあとに封筒をもらい、スマフォをしまって封をして封印を押してもらいます。
最初のうちは全員で移動し、島内のトンネルに向かいます。ここで最初の展示作品の説明を受けたあと、グループごとに懐中電灯をもらい、自由行動へと移ります。
自由行動開始するよ
懐中電灯をもらったものの、トンネル内の点灯はできません。暗闇の中をゆっくりと歩いていきます。すぐに目が慣れてきて、意外と歩くことができました。
その後は案内通りに進み、各作品を見ていきます。通路に街灯はなく、ところどころ道の脇に置かれてライトの明かりを頼りに進んでいきます。各ポイントには係員が立っているので、道に迷うことはありません。
目はすでに暗闇に慣れているので、懐中電灯の明かりはほぼ頼らずに歩いています。
中には、展示している作品に触ったり、自分も展示作品の一部になれるものもあります。海を眺めることのできる高台に、椅子が置いてあります。小さな明かりが椅子を照らしていて、椅子の上にはブランケット、椅子の背には本が置いてあります。こちらは、幅 允孝氏による「孤読と共読の広場」孤読編 2022というもの。最初のうちはただの展示作品だと思っていたのですが、そばにいた係員が「実際に座って本を読むことができますよ」と言われ、それが鑑賞者が参加して成り立つアートだとわかりました。
最初のうちは展示作品の一部になって他の鑑賞者に見られるのは恥ずかしい気持ちでしたが、なんだか暗闇の中だと大胆に慣れる気がします。自分が作品になるなんて面白いじゃないかという気持ちになって、作品の一部になってみたりもしました。本は金子みすゞの詩集で、アート作品の作者が意図した詩には付箋が貼ってあります。無人島の高台で海に向かい、波の音を聞きながら椅子に座って暖かいブランケットに包まりながら詩集を読むというのは、非日常過ぎてとても不思議な感覚でした。
その他にも色々作品が展示されていましたが、はっきりいって現代アートなんて説明のつかないよくわからんものばかりです。それなのに、展示作品には一切説明書きがありません。展示作品をきれいに照らす照明もなく、風が冷たくてかなり寒いので震えながら鑑賞しています。
でも、美術館などの照明が明るくて空調の効いた施設内でキャプションを読みながら、「ほうほうなるほど」といかにも理解したかのようにただ眺めるよりも、情報も光もなく、五感が研ぎ澄まされた状態で作品を鑑賞するほうが、よりアートを感じられるような気がします。
浜辺に展示されていた作品を鑑賞するよ
管理棟の近くの浜辺にも展示された、Natura Machinaによる「Soundform No.2」という作品があります。ここは一通り島内を周って展示作品を鑑賞し、懐中電灯を返してスマフォを開封したあとに鑑賞できます。この作品だけは写真撮影が可能です。
砂浜にはライトのようなものが何本も立っていて、それぞれから音が出ています。それはまるで何かを奏でているような、ただのノイズのような不思議な音です。
その先には、島内の山中から波打ち際を照らす一条の強烈な光が差し込んでいます。
猿島から見た、横須賀市内。やけに街の明かりが明るく感じます。
三笠桟橋に戻るよ
帰りは、18時30分発のフェリーで戻ります。三笠桟橋に戻って街の光を浴びた時、普段からさくさんの光や音の洪水を浴びていたんだなと感じました。
ライトアップされた戦艦三笠。
締めくくり
島内に展示されている作品は、好き嫌いが分かれると思います。でも、現代アートが苦手な方でも一度は情報を遮断して感覚が研ぎ澄まされた状態で触れてみてほしいと思います。
普段、感じている感覚とは全く違った裸の状態で触れることができるはずです。
3月まで開催されているので、ぜひ一度行ってみてください。
会期 | 2022年1月22日〜3月6日 ※会期中の金土日および祝日と2月10日の22日間 |
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開場時間 | 16:50〜21:00 |
観覧料金 | 一般 大人(高校生以上)3,500円、小・中学生 1,500円、横須賀市民 大人(高校生以上)2,500円、小・中学生 1,000円、小学生未満無料 |
駐車場 | 二輪は三笠公園に駐車可 |
フェリー発着時間 | 事前予約制 往路:三笠桟橋発 16:50 / 17:35 / 18:15 / 19:00 2月以降の往路:16:50 / 17:35 / 18:15 3月4日(金)、5日(土)、6日(日)の往路:16:30 / 17:35 / 18:15 ※往路は上記のいずれかのフェリーを予約 復路:指定されたフェリーで三笠桟橋に帰着 |
サイト | Sense Island -感覚の島- |
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