大阪府吹田市にある、万博記念公園。その名の通り、1970年に開催された大阪万博の跡地に建設された公園です。
約260haの広大な公園内では四季折々の花を楽しめるだけでなく、イベントなども開催されていて、一年中楽しめます。
広大な敷地の中に、EXPO’70 パビリオンという建物があります。この建物は、万博当時に鉄鋼館として出展されていた建物で、万博終了後は長いこと閉館していましたが、2010年(平成22年)3月13日に大阪万博の記念館としてオープンしました。
仕事で大阪を訪れた際、時間があったので万博記念公園を訪れました。事前知識など全然なかったのですが、何となくチケットを買って入場してみたら思った以上に展示内容がよかったので、ご紹介します。
万博公園までのアクセス
新大阪駅からだと、地下鉄御堂筋線(北大阪急行線)に乗り、5駅先の「千里中央駅」で下車。
大阪モノレールに乗り換えて、「千里中央駅」から一駅先の「万博記念公園駅」で下車します。
万博記念公園という駅名が付いていますが、駅直結というわけではなく5分くらい歩きます。
駅は中国自動車道に隣接していて、高架橋で中国道を渡っていきます。
公園内は有料で、公園入口でチケットを買って入場します。入場口には手で検札していた時代の名残がそのまま残されています。
入口からしてレトロ感満載です。
太陽の塔
万博記念公園に来るまで、ずっと太陽の塔のある芝生エリアは立ち入ることができると思っていました。
でも、実際には太陽の塔のある芝生広場全体が立入禁止になっていて、近づくことはできません。
と、思ったら太陽の塔の周りには通路があって、塔に近づくことができました。太陽の塔の中心にあるのは、現在を象徴する正面の「太陽の顔」です。そして一番上にあるのは、金色に輝き未来を象徴する「黄金の顔」です。
こちらが後ろ側。過去を象徴する背面の「黒い太陽」が描かれています。
EXPO’70 パビリオンに入ってみるよ
大阪万博については、テレビで何となく当時の映像を見たくらいなので、すっごい人混みの様子とか、三波春夫の「こんにちは、こんにちは」の曲とか、当時はピカピカだった太陽の塔とか、その程度の知識です。
なので、ここまで来たからには当時の様子を知りたいなと思ってEXPO’70 パビリオンに入ってみることにしました。
ま、あまり期待はしていなかったんですけど...。
実際に入ってみたら、詳しい説明とか映像、展示を見て気付けば2時間近く時間が経っていました。
常設展示の内容
常設展示は、こんな感じ。
1. EXPO’70への歩み
2. 史上最大のプロジェクト、始動!
3. 無限の可能性を秘めた音楽堂
4. 空前絶後の記録づくし
5. 6400万人の実験都市
6. パビリオン☆パビリオン
7. 体感する、人類の進歩と調和
8. 会場に咲く花、ホステス
9. 世界の国からこんにちは
10. 夢がつまった、子どもの天国
11. バックステージの1500人
12. ペーパークラフト(大阪万博会場模型 縮尺1/300)
13. EXPO’70コレクション
14. Made in EXPO’70 ~すべては万国博から
15. 今も生き続ける万国博
無限の可能性を秘めた音楽堂 スペースシアター
一番、くらげの中で感動したのが、「スペースシアター」です。
このスペースシアターと呼ばれたホールは、当時の最新技術が集結した音響システムが導入されています。ホール上空には1008個ものスピーカーが吊り下げられ、音楽とレーザー光線によるショーが人気を集めました。
大阪万博終了後は閉鎖されていましたが、2010年に公開し、 2014年3月からは、より当時を彷彿させるダイナミックな演出を体感できるようになっています。
こちらが、スペースシアターです。ガラスで区切られた一角から鑑賞できるようになっていて、中に立ち入ることはできません。
天井から吊り下げられているスピーカーの実物の一つは、スペースシアター展望室にあります。
旧ツイッターにアップしたところ、有識者からの引用リツイートにて情報をいただきました。
日本における立体音響元年は1970年だよねー。大阪万博のそこらじゅう(印象)のパビリオンにマルチチャンネル音響システムが仕込まれていた。時を同じくして4チャンネルオーディオセットが日本中の普通の家庭に売られていった。家屋の制約でリアスピーカーをメインスピーカーの横に並べてたりすること… https://t.co/dXKgqqwa4W
— 武井一雄🇺🇦ウクライナを想う (@meza3) April 22, 2024
展示室には、スペースシアターの詳しい説明も書かれています。
そして、何と言っても感動したのは、当時の最新鋭の音響機材と照明機材、装置などがそっくりそのまま保存されているということです。
通常のホールや劇場であれば、経年劣化とともに改修工事がなされて、当時の機材や装置は最新の機材と入れ替わり、廃棄されます。
なので、機材の進化や歴史を知るうえでの貴重な資料になっているのです。
シアター内の客席には、最新のLED機材が置かれていて、当時演奏された音楽とともに演出をしています。50年以上前は最新鋭だった照明と音響機材を、今では白熱球とハロゲンに取って代わられた新しい光源であるLED機材で照らして演出するのは、なんとも感慨深いものがあります。
黄金の顔が見られる別館の展示
2023年8月、パビリオンに別館がオープンしました。別館では、万博開催当時に太陽の塔の頂部に設置されていた「黄金の顔」の展示や、大阪万博を彩った「ホステス」のユニフォームなど、数多くの資料や作品を展示しています。
別館は、本館の展示を見学するルートの中に組み込まれていて、本館の展示を見学する途中で別館の展示を見学し、また本館の展示を見学するというルートになっています。
隣接している別館は、本館2階とつながっている通路を通ります。ステンレス製の銀色の自動ドアが開くと、別館につながる通路を通過します。チューブ状の通路は、LEDで彩られ、まるで一昔前のSF映画に出てきたようなカラフルで未来的な設計になっています。
そして、こちらが黄金の顔です。2階のバルコニーから間近で見るには、1階への落下事故を防ぐため、専用のスマートフォンケースを購入しないと撮影できません。
1階からだと、近づいて撮影できるので、わざわざスマートフォンケースを買う必要はありません。
当時のおしゃれなユニホームたち
別館と本館では、当時のユニフォームの展示がされています。
別館では、各館のユニフォームの展示です。今ではコンパニオンと呼ばれている女性案内の方々は、当時はホステスと呼ばれていました。
どのユニフォームも、とてもかわいいんですよね。ミニ丈のワンピースばかりなのは、当時はミニ丈が流行りだったのかもしれません。
こちらは、本館にある万博スタッフたちのユニフォームです。こちらもかわいくてキュンキュンしちゃいます。
警備スタッフでこのかわいさですから。
案内スタッフもかわいい。もう語彙力なくしてかわいいしか出てこない。
レトロ感を感じるものたち
当時は主流だった最新鋭の道具たちも、今ではレトロなものとなっています。
こちらは、当時の取材道具たち。Mimiyaなんてカメラメーカーは知らないし、Canonのフィルムカメラも今となってはレトロでかっこいい。トランシーバーはまるでお弁当箱です。
当時、会場内を明るく照らしていた街灯。明るい照明に慣れてしまった現代人には、きっと薄暗いオレンジ色の光に感じることでしょう。
ミッドセンチュリー感のある岡本太郎作の「手の椅子」。意外と座り心地よかったです。
締めくくり
全然予備知識もなく、何となく入ってみたEXPO’70 パビリオンですが、思った以上に惹きつけられてしまい、気付けば2時間近く滞在してしまいました。
万博なんかに興味がないという方も、ぜひ一度は訪れてみることをおすすめします。当時を知る方は懐かしく、知らない方は今だからこそ感じる斬新さと昭和レトロ感をたっぷり味わえるはずです。
そして、岡本太郎の作品に興味を持った方は、ぜひミュージアムショップを訪れてみてください。ステッカーやバッジなどいっぱい岡本太郎の作品をモチーフにしたグッズが販売されています。
くらげは、迷った末にステッカーを買ったものの、もったいなくて未だにどこにも貼れていません。今度、川崎の岡本太郎美術館と南青山の記念館に行ってみようと思います。